肥満だと2席分の料金を徴収するって本当?
航空会社が神経を使っているのは手荷物だけではありません。
乗客の体重に対して注意を払う会社も出てきたのです。
その先駆けとなったのは、南太平洋を拠点としているサモア航空です。
サモアで暮らす人々は肥満体質が多く、サモア航空が運航している機体は座席数が10席ほどしかない小型機のため、肥満者が多く飛行機に乗ると運航に支障が出かねないほどの影響があったことから、制限をかけるとともに体重が一定上の場合には超過料金を徴収するようになりました。
その後もアメリカのレガシ航空などでも同様の動きがあり、肥満者に対して別料金やエコノミー2席分を徴収するなどして対応を始めました。
アメリカなどは肥満社会とも言われており、肥満者が搭乗することにより通常の乗客からのクレームを予防するためとも言われています。
というのも、肥満者が横に座ると自分の座席スペースまで侵入してくることで、狭い思いをしながら過ごさなければならないからです。
トラブルを事前に避けるためにも、アメリカなどでは1席分の座席でシートベルトを占められないほどの肥満者には2席分のチケット購入を求めています。
この動きは日本も例外ではなく、力士が飛行機を利用する際には1.5倍の料金を徴収しています。
2倍ではなく1.5倍にしているのは、座席のみが2席分でありサービスまでは2倍の手間が掛からないことを意味していると言われています。
今後、力士以外でも同様の処置をとるケースが出てこないとは限りません。
LCCのリクライニングしないシートの戦略
普通、飛行機のシートはリクライニングするのが当たり前です。
しかし一部のLCCにはリクライニング機能が無いシートにしている会社があります。
リクライニングするレバーを引けば、わずかではありますがシートが後ろに倒れますが、そもそもレバーが存在していないシートにしているのです。
その先駆けがアイルランドに拠点を置く、ライアンエアーです。
どうしてリクライニングを廃止したのか、その理由の1つはコストダウンでもう一つはトラブル防止です。
1つ目の理由、コストダウンについて見てみましょう。
リクライニングができるということは、その部分について余計な部品があります。
もしリクライニング機能が故障してしまうと、修理にコストが掛かりますし手間もかかりますが最初から機能が無ければ、故障することもないわけです。
2つ目の理由、トラブル防止について見てみましょう。
リクライニングがあれば人は少しでも楽をしようとして背もたれを倒します。
しかし後ろに座っている人のことを考えずに、一方的にリクライニングすれば前後の乗客の間でトラブルに発展することもあります。
トラブルになれば仲裁しなければなりませんから、そもそもの元凶を排除すればそんな問題になることもありません。
また、リクライニングは着陸前になると元に戻さなければなりません。
全員のシートが元に戻っているかを確認するのは乗務員の仕事ですから、リクライニングが無ければそのような手間も省けるのです。
トータルでコストダウンになり、余計なトラブルや手間がなくなるわけですから、LCCがこぞってリクライニングを廃止する方向に動くのは当然と言えます。
LCCの機体で座席が高級革張りのものがある
LCCに良く乗る人ならシートが高級革張りになっている機体が増えてきていることに気が付いたことでしょう。
その代表格といえば「スターフライヤー」です。
LCCは徹底的なコストダウンを行っているはずなのに、シートが高級な革張りになっているなど逆じゃないか?と思うかもしれません。
しかし革張りはクロス張りに比べると初期投資は高くつくかもしれませんが、長期的に見た場合に価格だけでなく様々なメリットがあるのです。
クロス張りは汚れやすいというデメリットがあり、特に水物への耐性が低く飲み物をこぼしてしまうとふき取るのも一苦労です。
場合によっては乾くまでに次の乗客が座れないこともあります。
そうなるとシートへのダメージだけでなく、それを回復する費用と乗客を乗せることができないという収益へ直結する問題へと拡大してしまいます。
それに比べて革張りシートは汚れに強く、水に濡れても簡単にふき取ることができます。
加えて、クロス張りシートは耐久性が低いのですぐに破れたり破損してしまいますが、革張りなら破損しにくいので何倍もの期間で利用することができる上、メンテナンス費用も低く抑えることができます。
こういう理由からクロス張りシートよりも革張りシートのほうがコストパフォーマンスに優れており結果的に安く上がるのです。
その証拠に最近ではレガシー航空のJALがエコノミークラスのシートを、革張りに変更しましたが、明らかにLCCの影響を受けていると言えるでしょう。
航空会社が座席数以上に予約を取る理由
飛行機1便当たり乗客数に上限があるのは当たり前のことです。
その当たり前の上限数ですが、航空会社は上限数を超えて予約を取ることがあります。
オーバーブッキングと言われるものですが、上限以上の予約を入れるがためにキャンセルが出なければ乗れない人が出てきます。
常識で考えれば上限以上の予約を受け付ければ、乗れない人が出てきて困る。
乗客に迷惑を掛けることになるのは目に見えているのだから、そんなことはしない。
というのが普通の人の考え方です。
しかし航空会社は座席数以上の予約を平気で取るわけですが、それには理由があります。
ポーバーブッキングはアメリカでは1000人に10人、日本でも1000人に2人ぐらいの割合で発生しています。
乗客からの信用を失ってまで、オーバーブッキングする理由は出来るだけ満席に近い搭乗率で運航したいからです。
予約にはキャンセルがつきものですから、オーバーブッキングしていても想定したキャンセルが出れば乗客があぶれることはなく、ほぼ満席で運航できます。
しかし必ずしもキャンセルが発生するとは限りません、そうなれば乗れない人が出ます。
あぶれた乗客には振替便や別クラスへの座席変更を申し出るなどします。
また、どうしてもその便でなければダメだという場合は、既に搭乗している人の中から後の便でもかまわないという人を探して交代することもあります。
これらの面倒な手間がかかることも想定内として、航空会社はオーバーブッキングをします。
それだけ搭乗率を上げて運航することが、航空会社にとってはメリットとなるのです。