機内アナウンスで「乗務員はドアモードをディスアームドポジションに変更してください」や
「乗務員はドアモードをアームドポジションに変更してください」といった、
ドアモードの変更をアナウンスしています。
これはどの旅客機に乗っても必ず行われるアナウンスで、
これが流れると乗務員がドアに向かっていき何やら作業をし始めます。
ディスアームドポジションやアームドポジションという名前からして、
恐らくドアをロックしたり解除したりしているんだろうなと想像する人が多いのではないでしょうか。
実際はドアのロックを操作しているわけではありません。
そしてどうして機内作業をアナウンスするのか?という疑問もあるはずです。
そのあたりも含め詳細を見てみましょう。
■救命ボートが関係している操作
キャビンのドアには内側に緊急時の脱出に使用する救命ボートが収納されています。
この救命ボートは、緊急時にドアを開けると10秒程度でガスが充填され、
救命ボートが膨らんで使える状態になります。
これがドア操作に関係しているのです。
着陸前に「ディスアームドポジション」に変更するというのは、
ドアモードを操作して救命ボートが飛び出さないようにしているのです。
これをディスアームドポジションと言ったりマニュアルモードといいます。
逆に離陸時には乗務員が「アームドポジション」に変更しています。
これは緊急脱出装置である救命ボートが膨らんで飛び出すように設定しているのです。
アームドポジションやオートマチックモードといいます。
このように緊急時に救命ボートを使用可能な状態にするために、
ドアモードを変更しているのです。
■ドアモード変更はすべてのドアに対して行う
このドアモードの変更は、離着陸時に客室乗務員によって
全てのドアを手作業で行っています。
仮にドアモードを変更し忘れたまま航空機が飛び立ち、
緊急事態が発生してしまうと脱出シュートが機能せず、救命ボートも出てこなくなります。
そんなことになれば、脱出して命を守るはずが守れないという事態になり、
取り返しのつかないことになります。
■過去に起こったケース
実際、過去にこのドアモードを変更し忘れたまま離陸し、問題になったことがあります。
そのため、各航空会社はこのドア操作を確実に行うために厳しいチェック体制を敷いており、
ミスが絶対に怒らないようにしているのです。
万が一、設定し忘れたり、戻し忘れたりすると大変なことになるのは
素人である私たちでも理解できることです。
■かなりアナログな方法で行っている
自動化が進む中において、ドアモードの変更は手動で行うという
アナログな方法に頼っている現実があります。
例えば飛行機が離陸する前に、ボタンを押せばドアモードが変更になり
このドアモードが変更にならなければ離陸できないというようなことを、
システム的にできればと簡単に考えてしまいますが、それが実現されていないということは
非常に困難極まりないことなんだ等と推測できますね。