身長175cmを超えるような方であればやはり窮屈
LCCはコストを徹底的に切り詰めた上で、座席数をギリギリまで増やした機体を使い効率的に短距離輸送することで収入を極大化しようとするビジネスモデルです。
そこで座席数を最大にするために、LCCではまず座席のクラスをエコノミーのみで統一しました。ファーストクラスやビジネスクラスなど、手厚いサービスが要求されるクラスはコストがかかりますし、座席スペースも広く取らなくてはいけないので乗客数が減ってしまいます。
そこでエコノミーの座席をギリギリまで機体に詰め込むことで座席数を最大化させています。このため、座席の前後の長さや左右の幅が大手航空会社の採用している座席に比べて狭く作られています。
当然、座り心地、乗り心地は悪化しますがLCCは基本的に4時間以内の短距離輸送がほとんどのため「安い料金で乗っているのだから仕方ない」という割り切った考えとなっています。
具体的にはA320型機やB737機ではLCCも大手航空会社もそれぞれ6列使用になっていますがLCCでは座席ピッチを切り詰め大手航空会社が78.7cm~81.3cmが標準なのに対しLCCでは平均2.5cm~5cm、最大で7.7cmも短くなっています。身長175cmを超えるような方であればやはり窮屈に感じるでしょう。
中国の春秋航空では立ち乗り席の導入にも意欲的です。一度は安全上の理由で許可が下りず、立ち乗り席は実現されませんでしたが2014年に再度構想を発表しました。安全問題はクリアしているということで、もしこの立ち乗り席が実現されれば一度に乗れる乗客数を30%も増やすことができ価格も30%~40%安くすることができるそうです。
立ち乗り席の導入には欧米のラインエアも後部客室に設置することを検討しています。ラインエアでは立ち乗り席の料金を無料にし、受託手荷物などの付帯サービス料金のみで乗れるよう検討しているようです。
LCCで使われている機体には小型機が多い。座席が狭くても我慢してね。
全てのLCCではありませんが、多くのLCCでは所有する航空機を小型の同一の機種に限定しています。使用している機材はボーイング社のB737型、もしくはエアバス社のA320型に集中しており、どちらも座席数は150~200席、狭胴機と呼ばれている航空機です。東京から中国全土の都市とベトナム、バンコクまで飛べる5000~6000kmの航続距離性能があります。
どちらも何千機という単位で生産されているベストセラー機で改良された派生型機も沢山生産されている信頼の置ける機体です。例えばLCCのパイオニアであるサウスウェスト航空では547機、欧州最大のLCCであるラインエアは256機を所有しております。
同一機種を利用するのは、コスト削減でも大きなメリットがあります。LCCでは1機あたり7~8千万ドル(約60~65億円)する飛行機を大量購入することで、メーカーから大幅な値引きを受けているといわれています。
大きな機体を購入すれば、1度に多くの顧客を運べて儲けが大きくなるのでは?と思うかもしれませんが、小型だからこそ多くのメリットがあります。まず小型飛行機で1度に乗れる客があまり多くないからこそ空席を作らずに飛行機を飛ばすことができます。また一度にやってくる客数も多くないためカウンターも小さくスタッフも少なくなり、稼働率が高くなります。
更に同一の機体であれば、メンテナンスなどに必要な技術も一つで済みます。パイロットや整備士もなれた飛行機を扱うため短い時間ですぐに折り返し運航を実現できるのです。