LCCがサブ空港を利用する理由
空港は鉄道にとっての駅と同じ役割を果たします。しかし鉄道会社が駅を所有しているのに対して、航空会社は空港を所有していません。旅客ターミナルを所有しているケースはありますが、空港の建設には莫大な費用が掛かるため空港を所有することは、まずありえないケースです。
空港は一体誰が所有しているのかというと、それは国や地方の政府や自治体です。運営自体は半官半民の空港団体に任せていることが多いものののちに完全民営化した空港会社も存在します。空港はお土産店やブランドショップなどの商業スペースを確保しそこから家賃収入を徴収しています。
つまり、空港と航空会社は別の会社が協力して運営されていることになるものの航空会社自体は商業スペースから副業収入は得られません。空港にお客を運んでくるにも関わらず、離発着のたびに、多額の空港使用料を支払わなくてはいけません。
空港使用料は航空会社にとって、コストの10%程度を占める大きな費用です。LCCではこの空港使用料を抑えるために、ハブ空港に隣接するサブ空港を利用します。都心から離れた場所にある分、競争力が弱くなるため空港使用料も比較的安価に設定されています。
LCCを利用するほうも、多少不便な位置にあったとしても運賃が安いから仕方ないと納得した上で利用をしています。近年は多くの乗り入れを誘致したいサブ空港と、空港使用料を抑えたいLCCがWin-Winの関係になるだけではなく安く飛行機に乗りたい利用者の三方が得をする形となっています。
LCCがサブ空港を利用するのは空港使用料が安いからだけではありません
LCCがサブ空港を利用するのは空港使用料が安いからだけではありません。
他にも多くのメリットがあるため、LCCはサブ空港を多く利用しているのです。
まず、都心から離れているという点です。
サブ空港は多くのケースで都心から少し離れた場所にあります。このため飛行機の乗り入れがハブ空港に比べて少ないという特徴があります。当然、混雑も少ないために自分達に都合のよいペースで運航をすることが可能です。無駄な待機時間なども発生しにくく、地上滞在時間を短縮することができます。運航の頻度を上げることで、コストが大幅に削減できるのです。
空港側からも、空港使用料を安く設定したとしてもLCCが乗り入れることで、空港の利用客も増えるため空港内のショップの売上があがり、地域の活性化にも繋がるというメリットがあります。
旅客にとってもLCCがサブ空港を使用することで運賃が安くなり場合によっては大手航空会社の7割程度の金額で旅行ができるとなれば旅行先の選択肢が増え、旅行へ行く機会も増えるため多少距離が遠くても気にしないという人が多いです。
また、都心から離れていることで、サブ空港は駐車料金が安いことも利用者にとっては魅力です。都心部の空港では駐車料金が高く、電車で行かなければいけないような場合にもサブ空港では料金が安く車で乗りつけることができます。