LCCは地上待機時間を可能な限り短くして効率化を図る
LCCは航空機の地上待機時間を極力短縮化し、効率よく折り返し運航をすることで、運ぶ乗客数を増やしています。一つの機体が繰り返し飛ぶことで、1便あたりの機材費を減らすことができ、収入の機会も増えるため、LCCにとって欠かすことのできないビジネスモデルの一つとなっています。
航空機は飛んで、乗客を運んで初めて利益が出ます。では地上にいる間は利益が出ないのかというと、実は出ないどころではなくマイナスになってしまいます。空港に飛行機を置いておくだけでも地上滞在費などの費用が発生するからです。
ではどうやって、その短い時間で折り返し運航を可能にするのか?それはまさに時間との戦いです。
LCCでは機内の清掃は客室乗務員の仕事です。大手航空会社のように清掃員が乗り込むことはありません。飛行機が到着するやいなや、手荷物を下ろし、新たな荷物を詰め込みます。機内清掃が行われていると同時に、整備チェックが行われ燃料が補給され、機内食が搭載されていきます。全てが終わったら出発準備が行われ、すぐに旅客が乗りこんできます。いずれも流れるような手順で行われ、まるでF1レースのピットインのように全てがスピーディーに行われるのです。
国際線の場合、大手航空会社の場合には地上滞在時間は100分程度になっています。しかしLCCのエアアジアXの地上滞在時間は75分程度で、25分も短くなっています。こうした数分間の積み上げが効率の良い運航の鍵となっています。
航空機は地上では利益が発生しない。この問題を出来る限り回避するためにLCCは地上待機時間を可能な限り短くする戦略を取っています。
その方法を紹介しましょう。通常の航空会社では搭乗、降機を行う場合は搭乗橋を用いて行うため機体前方1箇所のドアしか使用することが出来ません。LCCの場合は搭乗橋を使わない代わりに、前後のドアへ搭乗タラップを直接つなげて行うことから乗り降りに掛かる時間を短縮しています。
さらに日本では空港管理規制という規制があり、一部の例外を除いては乗客が機内にいる間は燃料を給油することが出来ない。そのため、清掃作業については乗客がいる間に行うことが出来ても、給油についてはその限りではないのが国内の事情となる。海外ではこのような規制は無いことが多く乗客が乗っている間から給油を開始することで時間短縮を図っている。
日本でもLCC参入に伴い、規制緩和を進める方向で検討が進んでいる。このような規制が緩和されることでLCCにとっては、よりコスト削減に繋がり利用者への還元が進むことになります。LCCは更なるコスト削減のために可能な限りの時間短縮および経費の節約に力を入れていくことになるでしょう。LCC専用機体の開発なども行われていくことで、利用者にとってコスト面での利便性が向上していくことは間違いありません。安全性が保たれ、尚且つ安価であれば利用者は今後も増加すると見込まれています。