航空機は国際線になると給油量は18万リットル、国内線は1万2700リットルになります。
これだけの量の燃料を給油するとなれば、かなりの時間を必要とします。
国際線の場合、ドラム缶換算で900本にもなるのです。
ゼロの状態から給油すると、国際線であれば約1時間で国内線は約20分もかかります。
では、これだけ時間のかかる給油はどのようにして行われているのか、
その仕組みを細かく見てみましょう。
■空港の地下には大量の燃料がある
給油は基本として空港で行われます。
燃料を貯蔵しているタンクから、空港の地下にある
パイプラインを通ってハイドラントピットと呼ばれている、
燃料の出口まで運ばれてきます。
このピットから航空機の主翼などにある燃料タンクへ
ホースを使って燃料を給油しているのです。
つまり飛行機は空港に駐機している間に、次のフライトに備えて
必要な量を給油している形になります。
■「サービサー」の役割
ハイドラントピットにホースをつなげ、出口を主翼のタンクにある
給油口につなげて給油する役割を「サービサー」と言います。
ガソリンスタンドでは車の給油口に燃料ノズルを挿入して、
ハンドルを握ることで給油されますが、まさにそれと同じようなことを
サービサーは飛行機の主翼にある給油口に対して行っているのです。
サービサーの内部には燃料に含まれている水分を除去しつつ、
飛行機のタンクへ送り込む装置も装備されています。
燃料は水分を含んだままでは、乳化してしまうリスクがあるので
このような装置が付いています。
■「レフェラー」の役割
飛行場によってはハイドラントピットがない駐機場もあります。
そのような場合は、サービサーでは給油できないので
代わりに「レフェラー」と呼ばれる燃料タンク車が、
ハイドラントピットのある場所から対象の航空機まで
何度も往復して燃料を運んで給油します。
燃料タンクの大きい国際線などになると、レフェラーのタンク容量が
限られたものとなるので、何往復もすることになります。
■サービサーとレフェラーの使い分け
サービサーとレフェラーでは給油効率が異なってくるため、
そのメリット、デメリットを補うために次のような措置をとっています。
まず、サービサーは燃料を多く必要とする国際線がメインで使用し、
レフェラーは燃料を多く必要としない国内線がメインで使用します。
これによって燃料を多く必要とする航空機でも、時間をかけずに
給油することが可能となるのです。
■給油作業も効率化されている
このように駐機している間に給油しなければならないため、
その方法は効率化されています。
すべての駐機にハイドラントピットを設置すれば解決するのでは?
と思うかもしれませんが、そのためにはコストもかかってしまいます。
レフェラーでの給油で支障がないと判断されているので、
ハイドラントピットを備えている駐機は限られているのです。