2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行は
私たちの生活様式だけでなく、多くの産業構造にも大きな変化をもたらしました。
なかでも、人の移動を前提とする旅行・航空業界は、需要そのものが消失するという
極めて厳しい状況に直面しました。
渡航制限や外出自粛が長期化したことで、航空会社は
かつて経験したことのない経営危機に立たされることになります。
■世界中で相次いだ経営危機と業界再編
感染拡大によって国境を越える移動が制限されると
国際線への依存度が高い航空会社ほど大きな影響を受けました。
海外では、長い歴史を持つ航空会社が経営破綻に追い込まれたり
大手同士が統合することで生き残りを模索したりと、衝撃的なニュースが相次ぎました。
また、雇用を維持する余力がなく、従業員の解雇という
苦渋の選択を迫られた航空会社も少なくありませんでした。
航空業界全体が「冬の時代」に突入したといえる状況でした。
■日本の航空業界が選択した対応策
日本国内においても、航空需要は急激に落ち込みましたが
多くの航空会社は雇用維持を重視した対応を進めました。
社員の一時的な出向や休業制度の活用、社内業務の再配置など
緊急避難的な施策を講じながら、この危機を乗り切ろうとしました。
客室乗務員やグランドスタッフのなかには、半年から一年ほど
一般企業で勤務するケースも多く、航空業界以外の現場で経験を積む時間を過ごした人もいます。
国内線の需要が比較的残っていたことは、日本の航空会社にとって大きな支えとなりました。
■徐々に見え始めた回復の兆し
2022年に入ると、感染状況の落ち着きとともに
航空需要にも少しずつ回復の兆しが現れました。
当初は大きな赤字が続いていたものの、国内線の利用者数は着実に増加し
四半期単位で業績が改善する航空会社も出てきました。
国際線についても、水際対策の緩和や観光需要の再開により、段階的に便数が戻りつつあります。
■課題を抱えながら前へ進む航空業界
現在も新たな感染症への警戒や国際情勢の不安定さなど
航空業界を取り巻く環境は決して楽観できるものではありません。
それでも、現場で働くスタッフの多くは「最も厳しい時期は乗り越えた」
という実感を持ち始めています。
長い停滞を経て再び動き出した空の下で、航空業界は新しい時代に適応しながら
次の成長に向けた歩みを着実に進めています。









