空港という場所は、世界中の人々が行き交う小さな社会のような空間です。
そこでは日々、年齢も国籍も目的も異なる多様なお客様が飛行機を利用します。
その最前線で活躍するのが「グランドスタッフ」と呼ばれる地上職の人々です。
華やかなイメージが先行しがちな仕事ですが、実際には、安全と秩序を守りながら
どんな状況にも柔軟に対応する冷静さと判断力が求められます。
ここでは、そんなグランドスタッフという仕事の特性と
向いている人のタイプについて考えてみたいと思います。
■ すべての人に平等な「空の玄関口」で働くということ
飛行機は公共交通機関であり、誰もが利用できる交通手段です。
赤ちゃん連れの家族から高齢者の方まで、さらには外交官や芸能人などのVIP
そして法のもとに護送される受刑者まで
空港には本当にさまざまな立場の人々が訪れます。
グランドスタッフの仕事は、そうした幅広いお客様を受け入れる
“空の玄関口”としての責任を担っています。
ホテルや百貨店など、他の接客業と比べても、この仕事の特徴は際立っています。
グランドスタッフはお客様への丁寧な対応や気配りが求められる一方で
「公共交通機関の職員」として、安全と規律を最優先に行動しなければなりません。
ときには厳しい判断を下す必要もあり、ただの「おもてなし」ではない使命感が問われるのです。
■ 多様なお客様と向き合う難しさとやりがい
空港を訪れる人々は、旅行、出張、帰省、留学、治療など
目的も背景もまったく異なります。
そのため、同じ対応がすべての人に通用するわけではありません。
限られた時間の中で最適な判断をし、臨機応変に行動することが求められます。
時には、体調を崩したお客様の介助を行い
時には遅延や欠航に対して不安や怒りを抱える方の
対応をしなければならない場面もあります。
こうした混沌とした環境の中で、冷静に状況を見極め
お客様一人ひとりに寄り添う力こそが、グランドスタッフの真価と言えるでしょう。
大変さの中にこそ、やりがいと達成感があるのです。
■ 向いているのは「変化を楽しめる人」
このような特性から、毎日決まった仕事をコツコツとこなしたい人よりも
「何が起こるかわからない状況を楽しめる人」に向いている職種と言えます。
その場の判断力や対応力を発揮できる人、瞬時に気持ちを切り替えられる人
そして少しミーハーな気持ちで非日常の空気を楽しめる人ほど
この仕事を長く続けられる傾向があります。
おもしろいことに、航空業界では「B型の人が多い」と言われることがあります。
もちろん血液型だけで性格を決めつけることはできませんが
細かいことにあまりくよくよせず、柔軟で社交的
そして良い意味でマイペースな人が多いというのは確かです。
そうしたタイプの人が、結果的に長く現場で活躍しているのも事実です。
■ おわりに
グランドスタッフの仕事は、華やかなだけではなく、常に緊張感と責任が伴います。
しかし同時に、世界中の人々をつなぐ「空の架け橋」として
多くの人の旅立ちを支える尊い仕事でもあります。
日々変化する現場の中で自分の力を試し、成長を実感したい人にとって
これほどやりがいのある仕事はないでしょう。
