飛行機が定刻どおり、安全に出発・到着できる背景には
空港の制限区域で働く多くのスタッフの存在があります。
その中でも、航空機のすぐそばで運航を支えているのが
グランドハンドリングスタッフです。
普段はあまり目にする機会の少ない仕事ですが
空の旅に欠かせない重要な役割を担っています。
■グランドハンドリング業務とは
飛行機の地上での運行を支援する仕事は「グランドハンドリング業務」と呼ばれています。
この業務に携わる人たちは、グランドハンドリングスタッフ
あるいはグラウンドハンドラーと呼ばれ
現場では親しみを込めて「グラハンさん」と呼ばれることもあります。
航空機が空港に到着してから再び飛び立つまでの間
さまざまな作業を担い、安全で円滑な運航を支えています。
■多岐にわたる仕事内容
グランドハンドリングスタッフの業務は非常に幅広いのが特徴です。
パドルと呼ばれる道具を使って航空機を所定の位置へ誘導するマーシャリング業務や
トーイングカーを使用して航空機を後退させるプッシュバック作業を行います。
航空機は自力でバックできないため、この作業は欠かせません。
そのほかにも、貨物や手荷物の搭載・搬出、搭乗橋であるPBBの操作
機体の洗浄や除雪、機内清掃なども担当します。
特にPBBを航空機のドアに段差なく接続できたときは
グランドスタッフとの連携がうまくいった証として、双方に自然と笑顔が生まれます。
■働き方と求められるスキル
グランドハンドリングスタッフは、早朝や深夜を含むシフト制で勤務します。
屋外作業が多いため、夏の暑さや冬の寒さと向き合う厳しさもあります。
かつては男性中心の職場でしたが、現在では女性の活躍も珍しくありません。
力仕事のイメージを持たれがちですが、実際には特殊車両を操作する業務が多く
大型特殊自動車免許やけん引免許などを働きながら取得していきます。
入社前に普通自動車免許を持っていると、業務に入りやすいでしょう。
■グランドスタッフとの連携
現場では、グランドスタッフとグランドハンドリングスタッフが密に連携しています。
空港によっては同じ会社に所属していることもあり、職種を越えた一体感があります。
代表的なやり取りの一つが、搭乗ゲートでベビーカーや
車椅子などの預かり荷物が急に発生した場合です。
グランドスタッフがタグ付けを行い、無線で連絡をすると
グラハンさんが制限区域で受け取ります。
到着前にはPBB付近で一緒に航空機を待ち
時間に余裕があれば何気ない会話を交わすこともあります。
制服は違っても、同じ飛行機を支える仲間として、日々現場に立ち続けています。









