私たちが安心して飛行機に乗れるのは
目立たない場所で航空機と向き合い続ける航空整備士の存在があるからです。
運航の裏側では、わずかな異常も見逃さない厳しい点検と
高度な技術が日々求められています。
ここでは、航空整備士の具体的な仕事内容や資格取得の流れ
そして現場での連携についてご紹介します。
■航空整備士の主な仕事と整備シーン
航空整備士の最大の使命は、航空機を常に安全な状態に保つことです。
整備の現場は大きく三つに分けられます。
まず「ライン整備」は、空港に到着した航空機を次の出発までの限られた
時間内で点検・整備する作業です。
短時間で確実な判断が求められ、現場の経験と集中力が欠かせません。
次に「ドッグ整備」では、航空機を格納庫に収容し
数日から一か月ほどかけて機体全体を細かく点検します。
普段は見えない部分まで確認し、不具合の芽を摘む重要な工程です。
三つ目が「ショップ整備」で、エンジンや電子機器
油圧系統の部品などを専門部署で分解・検査します。
ここでの精密なチェックが、安全運航を長期的に支えています。
■航空整備士になるための資格と学び
航空整備士には、一等航空整備士や二等航空整備士といった
国家資格があります。
これらは数年から十年近い時間をかけ
実務経験を積みながら段階的に取得していきます。
大学の工学部や航空系専門学校、高校の専門学科などで基礎を学び
現場で知識と技術を磨いていくのが一般的な道筋です。
資格取得後も継続的な訓練が求められ、常に学び続ける姿勢が欠かせません。
■グランドスタッフとの連携と現場の実情
一見すると、グランドスタッフと航空整備士は
接点が少ないように思えるかもしれません。
しかし、出発前に不具合が見つかった場合には、両者は密接に連携します。
ゲートで「機材メンテナンス中」と案内され
出発を待った経験がある方もいるでしょう。
その間、整備士は機内で原因を調べ、グランドスタッフは修理に要する時間を
直接確認しながらお客様に説明します。
遅延による不満を受け止めつつも、内心では安全を守る整備士を信頼し
協力し合っています。
■整備の現場を身近に感じる方法
航空機整備をより身近に感じたい方には、航空会社が実施する
見学イベントへの参加がおすすめです。
多くは無料で、格納庫での作業風景を間近に見られるほか
整備士やパイロット、客室乗務員から現場ならではの話を聞けることもあります。
空の安全がどのように守られているのかを知る、貴重な機会になるでしょう。










