旅客機を安全に飛ばすため、パイロットは操縦桿を握る前から
多くの準備を進めています。
機体や気象の確認、操縦資格の維持、厳しい訓練など
その仕事は操縦だけではありません。
今回は、出発前の仕事からパイロットになる方法、機内での意外な事情まで
四つのテーマを紹介します。
■パイロットは離陸前に何をしている?
パイロットは、出発時刻の約1時間半から2時間前に空港へ到着し
飛行に向けた準備を始めます。
短時間の国内線でも長距離の国際線でも
安全運航のために確認すべき事項は数多くあります。
最初に確認するのは、航空管制に関する情報や気象状況です。
目的地の天候だけでなく、飛行経路上の気象も調べ、悪天候で着陸できない場合には
どの空港へ向かうかといった対応も検討します。
運航管理者とも相談しながら、その日の飛行計画を決めていきます。
続いて、飛行に必要な燃料の量や乗客名簿、貨物の情報などを確認します。
機体の整備状況についても情報を集め、出発に問題がないかを把握します。
客室乗務員との打ち合わせや、機体の外部点検も欠かせません。
コックピットに入ると、計器類などの状態を確認し
チェックリストに沿って準備を進めます。
さらに、航法装置に飛行経路のデータを入力します。
入力内容に誤りがあれば安全に関わるため、慎重な確認が求められます。
■パイロットはどんな飛行機でも操縦できる?
パイロットの操縦資格は、原則として機体の型式ごとに定められています。
そのため、ボーイング777の資格を持っていても
同じメーカーの別の型式を自由に操縦できるわけではありません。
別の型式を担当するには、必要な訓練を受け、審査に合格する必要があります。
複数の型式の資格を持つ場合でも、実際に乗務できる機体には
会社の運航体制や資格の条件などによる制約があります。
また、以前乗務していた機体に復帰する場合も
必要に応じて訓練や審査を受けなければなりません。
航空機の設備やシステムは改良されるため
過去の経験だけで十分とは限らないのです。
機体の違いを正確に理解し、技能を維持することが求められます。
■どうすれば旅客機のパイロットになれる?
旅客機のパイロットを目指す道には、航空大学校などの養成機関で学んで
航空会社への就職を目指す方法や、大学卒業後に航空会社へ入社し
社内の養成制度を利用する方法などがあります。
採用後は、座学や操縦訓練、審査などを重ね
必要な資格を取得して副操縦士を目指します。
その後も経験を積み、機長への昇格審査などを経て
機長として乗務できるようになります。
昇格までの期間は一律ではなく、会社や個人の状況によって異なります。
もちろん、操縦技術だけでなく、健康状態や英語力も重要です。
航空身体検査に適合する必要があり
航空無線での交信に必要な英語力も求められます。
さらに、機長には定期運送用操縦士の資格をはじめ、所定の知識や技能が必要です。
学科では航空工学や空中航法、航空法規などを学び
実技では離着陸や緊急時の対応など、幅広い能力が審査されます。
機長になった後も、技能審査や身体検査などを継続して受ける必要があります。
パイロットは、一度資格を取れば終わりという仕事ではないのです。
■パイロットはどこのトイレを使う?
コックピットにはトイレがないため
パイロットも機内に設置された乗客用トイレを利用します。
長時間のフライトでは飲食もしますから、当然、トイレに行く必要も生じます。
ただし、操縦中に自由に席を離れられるわけではありません。
複数のパイロットが乗務している場合は、操縦や監視の体制を保てるよう
必要な手順に従って交代や連携を行います。
トイレへ向かう際も、安全を確保することが最優先です。
機種や航空会社の運航手順によって細かな対応は異なりますが
パイロットは乗客と同じ機内設備を利用しながら
操縦室の安全管理にも気を配っているのです。










