飛行機は離発着で空港内を移動する際、所定の速度制限があります。
それはどこを移動しているか、飛行機が何をしているかによって
制限の上限がことなります。
自動車や電車でも速度上限があり、場所によって上限があるように
飛行機も同じような決まりがあります。
では、どういったタイミングでどのような速度制限があるのか見てみましょう。
■スポット(駐機場)から誘導路まで
旅客機が離陸する際には、スポット(駐機場)から誘導路まで移動しないと
滑走路に入ることができません。
旅客機はエンジンを噴射すれば自走できますが、スポットから動く際は
いきなりエンジンを噴射するわけにはいきません。
そのため、最初はトーイングカーと呼ばれる牽引車で移動させます。
ゆっくりと機体が動き出すタイミングがこれに当たるわけですが、
スポットから誘導路までの速度上限は15キロメートルとされています。
誘導路に来るまで旅客機はエンジンを始動させていますが、
出力は最低限に抑えられています。
■誘導路から滑走路まで
誘導路まではトーイングカーに牽引されますが、誘導路まで来ると
トーイングカーは切り離されて旅客機はエンジン出力を上げながら自走します。
切り離し時は衝突事故などを防ぐために、旅客機はいったんブレーキで速度を落とします。
このトーイングカーの切り離しが行われるエリアをタキシーウェイ呼び、
この時の移動をタキシングと言います。
分かりやすく言えば「地上滑走」という意味です。
このタキシング時の速度上限は37キロメートルとなっています。
この速度に達しているころ、客室内では乗務員によって緊急時の救命具などの
説明を受けているころと考えていいでしょう。
37キロメートルと言えば、そこそこの速度に思えますが
実際には旅客機が大きいこと、客室内が広いこと、窓から見える景色も広大なので
そこまで速度が出ているようには感じません。
新幹線が最高速度になっても、風景の遠くを見ていると
それほど速度を感じないのと同じ現象です。
■滑走路から離陸まで
滑走路の端に展開した旅客機は、離陸に向けて滑走路内を自走し
離陸に必要な最高速度である時速300キロメートルまで速度を上げます。
この加速を可能とするのが滑走路の長さであり、飛行機の大きさに応じて
必要な速度が決まっている。
そのため、大きな飛行機が発着する空港の滑走路はその分だけ長くなっています。
■着陸時は離陸の逆
着陸する際には、離陸時の逆の動きをします。
ランディングにはいる際の速度はおよそ240キロメートルで、
そこから徐々にブレーキをかけて速度を落として、滑走路の端から
誘導路に入るときには速度上限37キロメートルまで減速します。
そこからも徐々に速度を落として、スポットへと進みます。
離陸時と異なるのは、着陸時はスポットまでトーイングカーを
使用するわけではありません。
自走してゆっくりとスポットに到着するのです。
速度制限があるのは、道路と同じく危険性があるため
安全運航には欠かすことのできない決まり事と言えるでしょう。