一般的な買い物とは違い、航空機は開発段階から注文します。
つまり完成品がまだない状態で買うか、買わないかを決めるのです。
一般的には店頭で商品を手にして吟味して購入しますが、
航空機に関してはそうではありません。
そして最新機種として発表されたボーイング777xは、
2013年に新機種として計画発表された段階で、世界中から
250機を超す注文が入りました。
これは新機種の注文件数としてはかなり大規模となり、
ニュースになったほどです。
では、ボーイング777xとはどういう機体なのでしょうか。
そんなに注文が入るほど素晴らしい航空機なのか、詳細を見てみましょう。
■ボーイング777xの値段
ボーイング777xは1機あたりなんと350億円もします。
そんな高いものを250機以上注文したというのですから、
これだけでボーイング社は9兆円もの売り上げを予定することになります。
一般的な家庭で車を買うのも大きな買い物ですが、
航空機を買うということはこんなにも大商いであることがわかります。
■ボーイング777xの特徴1
ボーイング777xが人気なのは、何よりも運用コストにあります。
ボーイング777xは2つのモデルが用意されています。
1つ目は777-8xで、座席数が350席、航続距離は1万7220キロメートルで、
2つ目は777-9xで、座席数が400席、航続距離は1万6185キロメートルです。
従来の機種と比較すると、燃料効率が20%も向上することがわかっています。
このように運用コストが低いので、高い買い物であっても
長期的な運用を見た場合に買ったほうがお得であるという判断に至るわけです。
対抗機種となるエアバス350XWBと比較しても、燃費で12%向上し
運航コストは10%も改善するとされています。
今あるすべての航空機と比べても、座席あたりの運用コストが最も低い
という評価を得ている未来の航空機となります。
航空会社としては何よりも欲しい機種と言えるでしょう。
■ボーイング777xの特徴2
ボーイング777xの特徴は運用コストの大幅改善だけではありません。
その高い効率を生み出すのが、主翼の構造にあります。
ボーイング777xの両翼幅は71メートルと、従来機に比べると
6メートルも長くなっています。
しかも軽量化されていることも驚きのポイントと言えるでしょう。
そしてこの長い翼は国際空港の格納庫ゲートに入らない長さとなっています。
この問題を回避するために、ボーイング777xの翼は折り畳み式で
翼の両端3メートルの場所を内側に折りたためます。
翼を折りたたむというのは、映画やアニメの世界のようで
現実的ではないのが一般的な人のイメージではないでしょうか。
しかし翼を折りたたむのは、それほど複雑な構造となっておらず
タイヤの着陸装置とほぼ同じようなシンプルな機構と言われています。
■納入時期は延期に次ぐ延期
しかしそんな高性能なボーイング777xですが、納入は延期が続いています。
エンジン開発の遅れと新型コロナウィルスのパンデミックによって、
生産体制の見直しを迫られた形となっています。
現時点で納入時期は2025年以降まで延期されています。