旅客機のエンジンが飛行中に全て停止したらどうなでしょうか。
通常、ジェット旅客機はエンジンを2~4基搭載しており、
全てが故障して動かなくなる可能性もゼロではありません。
百トン以上にも及ぶ重さの旅客機のエンジンが止まるなど
想像したくもないですが、過去にはそのような事故もありました。
では、全てのエンジンが止まった場合、旅客機はどのような
状態になるのか見てみましょう。
■いきなり地面へと墜落することはない
旅客機ほどの大きなものの全てのエンジンが止まったとしたら、
すぐさま地面に墜落するイメージがあるでしょう。
しかし、実際にはいきなり地面に墜落することはありません。
飛行機にはそもそも揚力が備わっているので、旅客機ほどの大きさでも
例外なく揚力が働いています。
いわば、大きなグライダーのような状態になると考えればいいでしょう。
エンジンが止まると上昇したり、まっすぐ目的地に向かって飛び続ける
と言ったことはできませんが、徐々に高度を落としながら滑空するように
一定時間は飛び続けることができます。
■高度の10倍、約20分は飛んでいられる
旅客機はその揚力のおかげで、滑空時間と滑空距離はかなり長くなります。
小型の飛行機では揚力が小さいので、エンジンが止まってしまうと
長い間とんでいることはできず、墜落してしまいます。
旅客機の場合は、翼や全体の大きさにもよるものの約20分ほどは
飛行を続けられます。
また、高度の10倍ほどの距離であれば、滑空できる仕組みになっています。
■通常時も滑空することはある
エンジンがとなっていない正常な状態でも、高度を下げる場合には
推力がアイドリングになっており、エンジン停止の状態と同じになる。
そうすると、飛行機はグライダーのように滑空して高度を下げるのです。
エンジンは推力を維持、増大させるためのものであり、
エンジンだけで飛んでいる訳ではありません。
旅客機は推力付きの大きなグライダーだと考えて良いでしょう。
■エンジン自動始動機能などで回復することもある
過去にエンジンが全停止した旅客機でも、エンジン自動始動機能や
パイロットの適切な措置によって再始動できたケースもあります。
回復するかどうかは、エンジンが止まってしまった原因によるので
物理的な故障の場合は、回復が難しいと言えるでしょう。
しかし火山の噴火に遭遇し、火山灰の影響でエンジンが酸欠状態になって
となってしまった事例では、噴煙を抜けきったところで
エンジンが制御可能な状態に回復したのです。
■エンジンが回復しない場合は、無動力着陸するしかない
もしエンジンが回復しない場合は、無動力の状態で着陸するしかありません。
非常事態になりますので、着陸偽以降するかどうかは
パイロットの技術とその場の天候など様々な条件で決まることになります。
このようにエンジンがすべて止まってもすぐに墜落しない事がわかりました。
20分と言えばかなり長い距離を飛行できますので、周囲に空港があれば
緊急着陸という形を取るような動きになるでしょう。