飛行機にとって大敵の一つがバードストライクです。
バードストライクとは、飛行機が鳥と衝突することです。
万が一、ジェットエンジンにカモメやトンビを吸い込んでしまうと
最悪の場合、エンジンに致命傷を与えることにもなりかねません。
実際に、海外では鳥と衝突してしまったがために、飛行機が墜落したケースもあります。
平成21年にはアメリカのニューヨークで離陸直後の航空機に
バードストライクが起きて2台のジェットエンジンが停止し、ハドソン川に不時着水しました。
あわや乗客150人の命が失われるところが、機長の機転により事なきを得たことで
「ハドソン川の奇跡」と呼ばれ映画にもなりました。
日本では墜落事故には至っていませんが、バードストライクによるフライトの中止や
機体の破損などが起きることはそれほど珍しいことではなく、被害は軽視できません。
例えば2022年11月には関西空港を離陸したチェジュ航空がバードストライクの被害に合い
飛行機は関空へ引き返すというトラブルが起きています。
■日本におけるバードストライクの発生件数
日本では年間1,000件を超えるバードストライクが発生しています。
特に離着陸回数の多い羽田空港では発生件数の約1割を占めています。
そして、バードストライクの発生件数は、航空需要の増加に応じて発生件数も増加傾向にあります。
■バードストライクはどこで起きる?
バードストライクは主に低空で起こります。
つまり、離着陸時や低空飛行時など滑走路付近で起こる事故です。
上空まで飛行機が上がってしまえば、鳥も飛んでいないためぶつかる心配はありません。
■バードストライクを防ぐ決定的な方法は?
重要なのは、いかに滑走路付近から鳥を追い払うかということです。
しかし、これがそう簡単にはいかないのです。
鳥は自然の中で生きる生き物ですし、どの時間にどの場所を飛ぶかを正確に把握することはできません。
飛行場に近寄れないように覆うこともできなければ、ただ追い払うことしかできないのが現状です。
主要な空港では鳥を追い払うための専従要員が常駐されており
一日に何度もパトロールをして空砲による威嚇射撃や
ディストレスコール・スピーカーと呼ばれる鳥が天敵に捕まった時に発する悲鳴に似た
音を出す装置を使って鳥を追い払っています。
鷹匠とハヤブサを使って鳥を追い払う試みなども行われました。
しかし野生の鳥も負けてはいません。
一時的に追い払うことができても、すぐに舞い戻ってきてしまいイタチごっこなのです。