燃焼を満タンにしないのは旅客機の常識!?

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もしも飛行中の旅客機が燃料切れになってしまったら、どうなるでしょうか?
緊急着陸できる空港があれば何とかなるかもしれませんが
それがもし、見渡す限り海!な太平洋上だったらどうなるか……
考えただけでとても怖い状況ですよね。

だったら、絶対に燃料が足りない!なんてならないように
常に燃料を満タンにしておくのが良さそうなものですが、そうはならないのが旅客機の常識なのです。

■燃料の重さは負担!
なぜ万が一に備えて満タンにしておかないのか?
それは旅客機に取って燃料の重さ=旅客機に掛かる負担だからです。
旅客機の燃油タンクは巨大で、満タンになるまで燃料を入れてしまうと
機体とほぼ同じくらいの重さになってしまいます。

1.機体が重たくなるほど航行にかかる燃費が悪くなり費用対効果が悪化する
2.離陸時に機体が重たいと、飛び立つまでにかかるエネルギーが増え離陸しにくくなる
3.機体が重たいほど着陸時の衝撃によって機体が損傷する可能性が高くなる

満タンには上記のようなデメリットがあるため、目的地に応じた必要最低限の燃料しか搭載しないのです。

■燃料の必要最低搭載量はどうやって決めている?
最低搭載量は、次の通りに決めています。

1.目的地までに必要な量
2.万が一の時に代替空港までの飛行に必要な量
3.上空に空中待機する時の誤差を補う予備燃料

この3つを足したものが最低搭載量です。

しかし、同じルートでも毎回同じ量というわけにはいきません。
飛ぶ高度、速度によって燃費の良し悪しは代わるからです。
その日の風向きや風速、天気によって飛ぶときの高度や速度は異なり
それによって目的地までに必要な量は変わるからです。
燃費が悪い日には燃料を多く積まなくてはいけませんが
そうすると機体の重量が増えてしまうため、その増加分も計算に入れなくてはいけません。

■緊急着陸時には燃料を捨てることも
先に、燃料を詰みすぎていると着陸時に機体が重すぎるため
衝撃で機体が損傷する可能性が高くなると書きました。

これがネックになるのが緊急着陸時です。
航空機は着陸時の衝撃を軽減するために特定の重量以下で着陸されるように設計されています。

万が一、機体に燃料がたくさん残った状態で緊急着陸しなければいけないとなった場合には
機体が重すぎるため、うまく着陸することができません。

離陸直後に機体の不具合が発見された場合。
機内で急病人が出るなどのトラブルがあり、燃料が減る前に着陸しなければいけなくなった場合。

こうした状況では、パイロットは着陸のために燃料を大気中に捨てて機体の重量を減らします。
燃料投棄システムというものが航空機には搭載されており
ほとんどの航空機はそのスイッチを入れてから15イないに最大着陸重量まで重さを減らすことができます。