夏の青い空の中を飛行機が飛んでいく。
そんな光景を思い描いた時、とても爽やかな印象を抱くでしょう。
しかし、実際のところ、雲の上は夏でも極寒です。
なぜ、飛行機は氷付いてしまわないのでしょうか?
■上空はマイナス50度の世界
気温は高度が高くなるごとに下がります。
飛行機が飛ぶ高度1万mでは、真夏でもなんとマイナス50度の世界です。
真冬のロシア上空に至ってはなんとマイナス70度になることもあると言われます。
上空を飛ぶ飛行機の機体は冷え切っており、その状態で雲の中のような水分の多いところを飛ぶと
機体の表面には氷が付着してしまいます。
■氷の付着はとても危険
機体に少し氷が付着したくらいで、何の問題があるの?と考えるかもしれませんが、実はこれはとても危険です。
なぜなら、氷の付着は胡椒の原因となるからです。
例えば氷が翼に付着すると翼形が変わってしまいます。
飛行機の翼というのは揚力が最大になるように計算して作られているものなので
翼形が変わってしまうと、揚力が大幅に現象して翼の性能が落ちてしまいます。
そのまま放置してしまうと、失速してしまうかもしれません。
また、尾翼に付着してしまうと、機体の重さが変わります。
舵が重たくなってしまいますし、操縦に支障を期待し重大な事故に繋がりかねません。
■機体が凍らないのは様々な仕掛けがあるから
こうした障害が起こらないように、飛行機には実に様々な工夫が施されています。
例えば、氷がそもそも付着することを防ぐ機能や、付着してしまった氷を取り除くための機能です。
これらはいずれも加熱した空気や電熱線などの熱を利用しています。
・氷の付着を防ぐ防氷系統の仕組み
主翼など、機体の広い面積の防氷には、ガスタービンエンジンの圧縮機から取り出された
高温高圧の空気を流し込んで氷を付着させないという防氷機能があります。
ピトー管やエンジン空気の取入口には電熱線が組み込まれており、雲の中を通過するときなど
必要に応じて加熱することで氷の付着を防ぐことができる機能が搭載されています。
・除氷装置で付着した氷を取り除く仕組み
もし飛行機の機体に氷が付いてしまった場合には、除氷装置が氷を取り除きます。
例えば主翼や尾翼の前縁はブーツと呼ばれるゴムでできており、空気を注入することで膨らみます。
この膨らみを利用して氷を除去することができるのです。
他にも、氷点の低いメチルアルコールを除氷液として利用する機種などもあります。
こうした仕組みが機体にはほどこされていることで、マイナス50度という
超極寒の空間においても機体は凍ることなく巡航することができるのです。