航空機のチケットは実際の座席数よりも多くのチケットを販売しています。
これは過去の膨大なデータに基づくもので、一定のキャンセルが出ることを
前提としてそのような売り方をしているのです。
そしてその予想データは概ねその通りになるのですが、場合によっては
予想を覆す事態になることもあります。
それがオーバーブッキングです。
これは想定して販売したチケットが座席数以上に売れた状態のまま、
キャンセルが上回った座席数よりも少なくなってしまい、
座席数を上回る乗客が発生することを意味します。
これは乗客には何ら落ち度がないにもかかわらず、乗れない人が
発生するため乗客にとってはとてつもないストレスになります。
空港に来て搭乗手続きをしたら、乗れないという状況を想像してください。
どうすればいいの?と途方に暮れること間違いありません。
オーバーブッキングは日常的に発生しうる事態なので、
これに対応するのはグランドスタッフの仕事です。
では、どのようにして対応していくのか見てみましょう。
■事前に情報入手し乗客を吸い上げていく
グランドスタッフはオーバーブッキングが発生しそうな状況は、
リアルタイムで把握するような仕組みになっています。
そのため、早めに情報を把握したらその段階で搭乗予定で空港に
来ている乗客を優先的に吸い上げていく作業を始めます。
吸い上げるとは、オーバーブッキングしている便よりも早い便を
案内してそれに乗ってもらうというものです。
当然、無償でというわけにはいかないので協力してくれた乗客には、
マイルをサービスするなどの対応がとられます。
但し、吸い上げに応じてくれる乗客もそれほど多くはないですし、
早い便に乗れるほど時間に余裕をもって空港に来る人もそれほどはいないので、
吸い上げでオーバーブッキングを解消するのは難しいケースが多いです。
■別便または翌日への振り替え
吸い上げで間に合わない場合は、ブッキングした便よりも後の便への
振り替えを案内します。
お客様都合によるオーバーブッキングではないので、こちらも強制はできませんが
その分だけマイルや協力金という形で還元します。
その日の便で振り替えが間に合わない場合は、翌日の便への振り替えも
行なうことになり、その場合は宿泊先の手配や協力金での対応となります。
いずれも乗客にとっては予期せぬ事態になりますので、ストレスですが
協力金などで矛を収める形が多く見られるようです。
■大きなクレームにならないように処理する
オーバーブッキングは乗客に責任はないので、どうしてもクレームに
なりやすい性質を持っています。
しかしグランドスタッフは事前にオーバーブッキングの情報を掴んでいるので、
大きなクレームになる前に処理を済ませるケースがほとんどです。
このように航空会社のシステム都合によって、乗客に影響が出てしまい
それの対応を行うのもグランドスタッフの仕事となっているのです。