今回ご紹介するのはイギリス、オックスフォード郊外にあるブレナム宮殿です。
シンデレラ、ハリーポッター、ダウントン・アビー、007など
数多くの映画やドラマのロケ地になっていうことでも知られるブレナム宮殿は
東京ドーム173倍の広さを持っています。
広大な庭園やカフェなど見どころが沢山あることから人気の世界遺産です。
1987年に登録されてから、多くの人々が訪れる場所です。
イギリス旅行では定番の観光地ではありますが、訪れるならどんな背景を持つ場所なのか
改めて一度歴史をおさらいしたいですね。
女王の褒章で建築された宮殿
1704年、スペイン継承戦争の際に現在のドイツにあるブレンハイム(英語名でブレナム)という地域で
イギリス軍とフランス軍が戦い、初代マールボロ公爵のジョン・チャーチル率いるイギリス連合軍が見事に勝利を収めました。
スペイン継承戦争は1701~14年にかけて行われた戦争で、スペイン王カルロス2世の死後に
フランス王ルイ14世が自分の孫をつけようとしたことが原因で起こった戦争です。
スペインとフランスが手を組むことになれば、王朝の力は更に巨大化し、侵略の恐怖に晒されることになる
イギリス、オーストラリア、オランダが同盟を組み、この目論見に対抗することになったのです。
ジョン/チャーチルは常識を覆す連戦連勝でフランス軍の侵入からウィーンを救いました。
この勝利は単なる戦争に勝ったということだけではなく、イギリスがヨーロッパの一流国になる第一歩だったのです。
歴史的な勝利、その褒章としてアン女王は将軍ジョン・チャーチルにこの土地と建築資金を与えました。
王族ではないジョン・チャーチルが建築した城がPalace(宮殿)と言うのはこのことが由来となっているのです。
個人所有のお城でありながらイギリス最大の広さを誇り、更に王族関係以外でPalace(宮殿)の名が付いている唯一の建築物です。
完成までに17年の歳月がかかった
1705年に着工した宮殿建設ですが、スムーズに進んだわけではありません。
当時、ジョン・チャーチルの妻・サラはアン女王の親しい友人で女官長を務めていました。
しかしサラはアン女王の気分を損ねる行為を重ねてしまったことから、サラを罷免します。
1712年、これを受けて宮殿建設に使われていた政府資金が途絶えてしまいます。
宮殿の建築は完全にストップしてしまったのです。
1714年にアン女王が亡くなり、1716年に工事はマールボロ公爵家の私費で再開されました。
総工費はおよそ30万ポンド、現在の日本円で37億円ほど掛かったというから驚きですね。
完成した宮殿は200以上の部屋、大理石や漆喰で装飾された壁、フレスコ画や天井がなど
イギリス公爵家の豪奢な生活ぶりが分かる素晴らしい建物でした。
ウィストン・チャーチルの生家
第二次世界大戦中にイギリスの首相となったのがウィンストン・チャーチルです。
イギリスをヒトラーの侵攻から守った彼はこのブレナム宮殿で生まれました。
宮殿内には彼が生まれた部屋が展示されており、基調な資料も多く展示されています。
なんとこちらには彼が愛妻・クレメンティーンを口説き落としたラブレターまで公開されているから驚きです。
また故ダイアナ・スペンサー元妃もマールバラ公爵家の親戚ということで写真が並べられています。