普段から旅客機を頻繁に利用しているという方は多くても
旅客機そのものについて詳しい方はあまり多くありません。
今回は前回に引き続き、旅客機と空港の雑学についてご紹介します。
■自動操縦ってどこまでできるの?
旅客機には「オートパイロット(自動操縦)」という機能がある
というのはご存知でしょう。
では、この自動操縦はどこまでできるのでしょうか?
自動操縦は以下の5つを統合したシステムです。
・APS(自動操縦装置)
飛行状態を把握し、機体の傾きに応じて機体をコントロールする装置
・INS(慣性航空法装置)
あらかじめプログラムされている飛行ルートに誘導する装置
・ATS(自動推力調整装置)
設定された速度を維持し、推力の調整を行う装置
・ILS(計器着陸装置)
着陸侵入する航空機に対して地上施設から誘導電波を発射し滑走路上に誘導する装置
・ALS(自動着陸装置)
目的地の空港への侵入・着陸までの操作をコントロールする装置
ではこの自動操縦がどこまで飛行機を動かすことができるのかというと
実は2020年現在、飛んでいるほとんどの飛行機はこの自動操縦で動いています。
唯一自動操縦ができないのが「離陸」です。
パイロットは旅客機に搭乗すると、飛行機を手動で離陸させます。
その後は自動操縦に切り替えて、操縦を機械に任せてしまいます。
パイロットは操縦を機械に任せた分、天候を見るなど他の細かい判断に集中します。
飛行機がある程度の高さまで達したあとは、ほとんど自動操縦で運行されています。
あれだけの乗客を乗せている飛行機が、雲の上でほとんど
機械が操作しているというのは驚きですね。
■滑走路が濃霧に包まれていたら、着陸できるの?
飛行機が着陸しようとしたとき、滑走路に濃霧が発生していたら
飛行機は着陸できるのでしょうか?
実は飛行機は濃霧で滑走路が見えなくても着陸することが可能です。
成田空港は秋口に霧が発生しやすい空港です。
特に夜間の冷え込みが強い時期には、太陽が登り始めて
急に気温が上昇することで濃霧が発生します。
しかし旅客機には前述の通り、ILSがついています。
ILSをつかうことで誘導電波が進入方向や進入角度を知らせ
それに沿って操縦することで安全に着陸することができるのです。
なんと理論上は視程0、雲高0という全く滑走路が見えない状況でも
着陸することができるそうです。
■旅客機は自分の故障を自分で見つけることができる
これほど高性能に作られている旅客機ですが、高性能だからこそ
とても複雑な作りをしています。
この複雑な作りの全てを飛行場に待機している僅かな間で
整備することはとてもではありませんができません。
そこで飛行機が到着してから次のフライトまでの2時間~45分の間には
何が行われているのかというと、主にオイル補給や状態の確認程度です。
たったそれだけで安全性が確保できるのかと不安になるかもしれません。
しかし旅客機には自分で自分の故障を見つけるシステムが搭載されています。
このため、もし修理が必要な不具合が見つかった場合には
フライト中にチェックされ、
飛行場に到着する時には原因が特定され予備部品が用意された状態となります。
限られた時間でも安心して旅客機が飛べるのには
こうした性能に守られているからなのです。