飛行機は離陸して安定飛行に移ると自動操縦に切り替わります。
自動操縦ということは、コンピュータが操縦を肩代わりしますが、
その間、パイロットは何もしないで只操縦席に座っているだけなのでしょうか。
もしパイロットが自動操縦時に何もしていないとすれば、
離陸と着陸のためだけにパイロットが存在していることになります。
実際のところ、どうなのか見てみましょう。
■自動操縦には種類がある
自動操縦には2種類あって、舵を動かすオートパイロットと
エンジンの出力を調整するオートスロットルがあります。
これらを駆使することで、あらかじめ設定したコースを自動で飛ぶことができます。
条件を満たせば自動着陸も可能とされています。
■パイロットは何もしていないわけではない
自動操縦は非常に便利でパイロットの負担を軽減する役割がありますが、
自動操縦の間パイロットは何もしていないわけではありません。
自動操縦はコンピュータがパイロットに指示された設定に従って
飛行機を動かしているに過ぎません。
そのため、航路の先にある事象まで予測して対応することはできません。
パイロットは不測の事態に備えて、絶えずコックピット内で
緊張感を持っていなければなりません。
雲や気流などを予測して、システムの誤作動や巡行コース、エンジンの状態、
燃料、オイル、与圧空調等の計器類の監視を行っています。
ただ計器類を見ているだけではないので、緊張感は高いままとなります。
不具合があればすぐに対応しなければならず、簡単な作業ではありません。
■アクシデント発生時には冷静で的確な対応が求められる
アクシデントが発生時には、パイロットが冷静に対応しなければなりません。
コンピュータに変わって操縦するため、待機しているのです。
自動操縦システムが無かった時代は、パイロットの負担は今以上に
高かったわけで、その当時に比べればパイロットの負担は軽減されています。
とはいえ、過酷な業務であることに変わりはありません。
■パイロット業務は過酷である
現在の航路は、長距離、長時間、高速になっているケースが多く
自動操縦システムは無くてはならない存在となっています。
パイロットという過酷な業務だからこそ、少しでも軽減しなければならず
それは飛行機の運行を安全、安心なものにするため不可欠です。
コンピュータに自動操縦させるなんて危険だという意見もありますが、
人間がやれば安全ということではないのです。
人間はミスをしない生き物ではなく、ミスをする生き物です。
そのミスを減らしてコンピュータで代用できる部分は、代用するのです。
コンピュータでできることはコンピュータに任せて、
それ以外の部分をパイロットが補えばそれで問題はありません。
最終的にはパイロットがすべてを判断することになりますので、
自動操縦している間はパイロットは暇だというのは完全な間違いです。
今後も飛行機の安全で安心な運行を続けるために、パイロット業務は
欠かせないものなのです。