飛行機の離着陸は、飛行中でも特に慎重な操作が求められる場面です。
機首の角度や風向き、機内の照明など、一見すると何気ない動作にも
安全に着陸するための理由があります。
さらに、もしものときに一般道路へ着陸できるのかという疑問にも、機体の大きさが大きく関係しています。
今回は、旅客機の離着陸にまつわる4つの疑問について解説します。
■着陸時に大型機が機首を上げるのはなぜ?
ジェット旅客機は着陸するとき、機首をやや上向きにした姿勢で滑走路へ進入します。
地面へ向かって降下しているのに、なぜ機首を上げるのでしょうか。
大きな理由は、速度を抑えるためです。
機首を下げたまま降下すると、機体が加速してしまいます。
しかし、着陸時に速度が上がりすぎれば、安全に接地することが難しくなります。
そこで機首を引き上げ、翼の迎え角を大きくします。
すると空気抵抗が増え、機体の速度が落ちやすくなります。
ただし、速度を落としすぎれば失速につながるため、パイロットはエンジンの推力も調整します。
つまり、機首を上げて速度を抑えながら、エンジンの力で必要な揚力を確保するという
繊細な操作を行っているのです。
■離着陸では追い風より向かい風が有利?
巡航中は追い風があると飛行時間を短縮でき、燃料の節約にもつながります。
しかし、離着陸時には反対に向かい風が有利になります。
離陸時に向かい風を受けると、機体が滑走路を走る速度がそれほど高くなくても
翼に対して流れる空気の速度を大きくできます。
その結果、必要な揚力を早く得られるため、より短い距離で離陸しやすくなります。
着陸時も同様です。
向かい風があれば、機体の対気速度を確保しながら地面に対する速度を抑えられます。
つまり、滑走路へ向かう速度を低くしつつ、翼には十分な空気を流せるため
安全に接地しやすくなるのです。
このように、同じ風でも、巡航中は追い風、離着陸時は向かい風が航空機にとって有利に働きます。
■夜間の離着陸で機内照明を暗くする理由
夜間の離着陸時、機内の照明が落とされることがあります。
これは操縦に必要な操作ではなく、緊急事態に備えて乗客の目を暗さに慣らしておくためです。
もし機内が明るい状態で緊急脱出が必要になり、突然暗い屋外へ出ることになれば
周囲が見えにくくなります。
乗客同士がぶつかったり、脱出口の位置が分からなくなったりする可能性もあります。
そこで、あらかじめ照明を暗くしておき、乗客の目を暗い環境に適応させておきます。
万が一の避難時にも、周囲の状況を把握しやすくするための安全対策なのです。
■大型旅客機は一般道路に着陸できる?
小型機が緊急時に道路へ不時着するケースはありますが、大型旅客機では事情が大きく異なります。
大型旅客機は非常に重いため、一般道路では着陸時の衝撃に道路が耐えられない可能性があります。
空港の滑走路は、こうした重量に耐えられるよう、十分な厚さと強度を持つ構造になっています。
一方、一般道路は基本的に自動車の走行を前提として造られているため
旅客機の着陸に必要な強度を備えているわけではありません。
仮に大型旅客機が無理に道路へ着陸すれば、路面が機体の重量に耐えられず
車輪が路面へ沈み込むなどして大きな事故につながる可能性があります。
そのため、大型旅客機の緊急着陸では、道路よりも適切な広さと強度を持つ場所が選ばれることになります。










