旅客機が安全に飛ぶためには、エンジンや翼だけでなく
着陸後に機体を止める仕組みや、操縦室に並ぶ計器類など、さまざまな装置が必要です。
普段は乗客から見えない場所にも、安全な運航を支える工夫が数多く施されています。
今回は、旅客機の停止方法からコックピットの時計やワイパーまで
4つの疑問をわかりやすく解説します。
■旅客機はどうやって停止する?
旅客機は着陸すると、車輪のブレーキを使って滑走路を走りながら減速します。
ただし、重量の大きな機体を安全に止めるため、車輪のブレーキだけに頼っているわけではありません。
着陸直後に翼の上へ立ち上がる板状の装置が「スポイラー」です。
スポイラーには揚力を減らす働きがあり、機体が滑走路から浮き上がるのを防ぎます。
車輪がしっかり路面に接地することで、ブレーキの力を効率よく使えるようになるのです。
さらに、エンジンの推力を逆向きにする「逆噴射」も減速を助けます。
逆噴射は必ず使うものではなく、滑走路の長さや天候などを考慮してパイロットが使用を判断します。
空港の混雑時など、できるだけ早く滑走路を空けたい場合には、積極的に使われることもあります。
■コックピットに大量の計器やスイッチがあるのはなぜ?
大型旅客機のコックピットには、数多くの計器やスイッチが配置されています。
飛行そのものに最低限必要な情報だけなら、速度や高度
方向などを確認できれば十分に思えるかもしれません。
しかし、実際の飛行ではエンジンや油圧、燃料、電気系統、通信機器など
さまざまなシステムが正常に動作しているか監視する必要があります。
例えばエンジンについても、回転数や排気温度、燃料流量、油圧など複数の項目を確認します。
さらに、車輪のブレーキの状態や各種通信装置、レーダー、照明などを操作するためのスイッチも必要です。
こうした装置をすべて備えるため、かつてのコックピットは計器とスイッチで埋め尽くされていました。
一方、現在の旅客機では大型ディスプレーに情報をまとめることで
計器類の数を減らし、必要な情報を見やすく表示できるようになっています。
■コックピットの時計はどこの時刻?
国際線の旅客機では、国境を越えるたびに現地時刻へ時計を合わせているわけではありません。
航空業務では、世界共通の基準となる協定世界時(UTC)が使われています。
日本とアメリカでは時差があり、さらに夏時間などもあるため
現地時刻だけで運航管理をすると混乱が生じる可能性があります。
そこで、航空管制や運航に関する情報は、世界共通の時刻を基準にして管理されています。
パイロットは必要に応じて現地時刻との時差を考慮しながら、飛行計画や運航情報を確認しています。
■コックピットのワイパーはいつ使う?
旅客機のコックピットの前面には、自動車と同じようなワイパーが取り付けられています。
ただし、飛行中に常に使用するわけではありません。
旅客機が巡航高度まで上昇すると、基本的には雲の上を飛行するため
雨などでフロントガラスが濡れる場面は限られます。
一方、離着陸時には低い高度を飛ぶため、雨の影響を受けることがあります。
そこで、コックピットの窓には水滴を弾きやすくする処理が施され
一定程度の雨であれば視界を確保できるようになっています。
それでも雨量が多い場合などにはワイパーが使用されます。
つまり、旅客機のワイパーは「飛行中は一切使わない装置」ではなく
特に雨の中で離着陸するときなど、必要な場面でパイロットの視界を確保するための重要な装備なのです。










