一般に、空港オペレーターはどうやって新規路線の参入を決定するのでしょうか?
空港の路線は一般市民がいくら「◯◯と◯◯を結ぶ路線があったら便利なのに!」と声を上げても開設されることはありません。
空港へのアンケートに要望を記載しても、SNSで声を上げても採用されることはないでしょう。
同じように市長や知事が地元の陳情団を率いて新規路線の開発をお願いに訪れたとしても
残念ながら、やはりこちらにもほとんど意味はありません。
これはどちらからというと技師的なものに近く、ある程度話が固まっているから行われるものです。
お願いされたからと言って、「はい、それじゃぁ路線を開設しますね!」とはいきません。
なぜなら路線を開設するには莫大な費用がかかるからです。
特にLCCではコストは非常に重要視されますから、必要なんですと言われても、おいそれとうなずくわけにはいかないのですい。
空港オペレーターが新規路線の参入を検討する時、真っ先に考えるのは
その空港が位置する地域の観光資源です。
空港は一度建設してしまうと、その場所から動くことはできません。
そして空港がただあるだけでは、十分な収益を確保できるほど人は訪れてくれないのです。
人が沢山やってくる空港は空港自体が魅力的なだけでなく、空港のある地域に魅力がなければいけません。
このため新規路線の参入を決定する際には、空港オペレーターは観光資源に目を向けるのです。
空港のある都市、そしてその周辺地域に、今まであまり知られていなかった観光資源がないか?
見どころがないか?名物料理や美味しい食材などが眠っていないか?
そうしたものを見つけて、まず周辺地域の観光をどんどん宣伝します。
空港は地域が会って初めて成り立つ商売です。
民営化で儲からない路線は廃止という話を聞くと地元を軽視しているのではと
悪い印象を抱く方もいるかもしれません。
しかし、優れた空港オペレーターほど、重視するのは地域密着、地域との連携です。
空港オペレーターは周辺の観光資源だけではなく、更にどんな住人が暮らしているかも徹底的に調べ上げます。
地域の住民がどんな仕事をしているのか?帰省先はどこなのか?
その地域にある会社の業種や出張先、出張回数など多岐に渡ることを調べます。
そうした諸条件を沢山並べ、計算した上で「これくらいの利用者を見込むことができますよ」と
初めて空港に営業をかけることになります。
例えばロンドンにあるルートン空港のWebサイトはわかりやすいです。
路線図の就航地をクリックすると周辺の美しい風景などが表示され
リゾートのホテル、航空チケットをまとめて予約することができます。
いわゆる「映え」る写真がずらっと並んでいる様子は空港のWebサイトというよりは旅行代理店のようです。