飛行機はなぜ飛ぶのか、知っていますか?
我々が旅行や出張、里帰りなどで当たり前に利用する飛行機ですが
なぜ飛行機が空を飛んでいるのか、その原理をきちんと理解している人は少ないでしょう。
今回は、飛行機にまつわる科学のお話を難しい数式などは使わずに
文系の方でも分かるようにご紹介します。
■どうして飛行機は空を飛べるの?
飛行機が空を飛ぶために欠かせないのが翼です。
この翼によって生まれる「揚力(ようりょく)」が、飛行機が落ちようとする「重力」を上回るためです。
飛行機の翼の断面は流線型をしています。
例えば飛行機が右に曲がろうとするとき、翼は右からの空気の流れを受けます。
この空気は翼の断面で上下に分かれることになります。
翼は上の方が丸く、下の方が比較的真っ直ぐな形となっています。
空気の流れは上の方が早く、気圧が低くなり、下の方が空気の流れは緩やかになり気圧が高くなります。
物体には気圧の高い方から低い方へと押される性質があります。
このため飛行機の機体にも気圧の低い方へ押される働きが生まれます。
この押される強さ(揚力)が飛行機を地球に引っ張る重力よりも強くなるため
飛行機は落下することなく、空を飛ぶことができるのです。
■身近なもので体験できる揚力
揚力は身近なものでも感じることができます。
スプーンを用意し、キッチンへ行き蛇口から水を出してみましょう。
スプーンは親指と人差指で柄の先端部分を軽くつまみます。
そしてそのまま、蛇口から流れる水にスプーンの丸く膨らんだ方を近づけてみて下さい。
すると、スプーンは流れる水に引き寄せられるように動くはずです。
水の流れが早くなればなるほど、スプーンは強くひきつけられます。
これはスプーンの膨らみが飛行機の主翼と同じような形をしているから起こる揚力です。
また1cmくらいの細さに切ったコピー用紙でも揚力は感じられます。
唇のすぐしたに切ったコピー用紙をあてて、息を吹いてみて下さい。
紙テープには息があたっていないにも関わらず、紙テープが押し揚げられます。
これは紙テープの上方に空気の流れが生じることで気圧の差が生まれ、揚力が発生するからです。
■ウイングレッグは揚力を高める
子供の頃に紙飛行機を作った時、翼の端を小さく折ると遠くまで飛んだ……
そんな経験をしたことがある方も多いでしょう。
紙飛行機は翼の端を折ることで、空中で安定した姿勢を取ることができます。
実際の飛行機にも、同じように翼の端が曲がっている機体があります。
例えばボーイング737のNGシリーズ、エアバスのA350XWBなどの機体です。
飛行機は先にも書いた通り、重力よりも揚力が強く働くことで飛ぶことができます。
翼が流線型をすることで空気の流れを作り、揚力が働く設計です。
ところが、翼の先端部分では「翼端渦」と呼ばれる空気の流れが生じ
前へ進もうとする飛行機の抵抗力となってしまいます。
ところがウイングレッグがあると、翼端渦を拡散させることができる
更に渦の気流を揚力に変える働きが生まれるのです。
子供の頃に何気なくやっていたことも、実際の飛行機と同じなのです。