航空機が離陸する時、滑走路から飛び立つ飛行機は機首を上に上げて飛び立ちます。
機首を下げたままでは地面にめり込んでしまいますから、当然です。
このため、航空機事情に詳しくない人からすれば、着陸時には機首を下げ、前輪が先に着地し
その後、機体の後方(後輪)が着陸すると考えがちです。
小さなお子さんが飛行機で遊ぶ時も、離陸時には機首が上に向いており
着陸時には機首から降りているでしょう。
しかし、実際に航空機の着陸を空港の見学用デッキで見ていると
これから着陸しようとする飛行機が離陸時と同じように機首を上げて
滑走路に進入してくることに気がつくと思います。
■旅客機は機首を上げて着陸する
機首を上げて着陸するのには理由があります。
これは飛行機の速度を十分に落とすためです。
高度を下げるために機首を下げると、飛行機は滑空と同じような状況になり
構造上どうしても速度が早くなってしまいます。
速度が上がってしまえば、着陸装置へのダメージが大きくなり、機体へより多くの負荷がかかります。
中に乗っている乗客にもその振動は伝わりますし、滑走距離も長くなります。
機首を下げて、スピードを上げたまま着陸するというのは、とても危険な行為なのです。
■フレア操作と呼ぶ
飛行機の機首を上げて着陸することをフレア操作と言います。
フレア操作することで、ソフトランディング効果が得られる一方で
操作が不適切であると機体に大きな衝撃が走り、機体の破損に繋がります。
このため、パイロット訓練生は何度も何度も練習を重ねて技術を磨きます。
飛行機の機首を上げると、上げた直後には一時的に揚力が少し上がります。
その後、抗力が増加し、飛行機は急激に減速します。
このままでは飛行機は失速してしまい、墜落してしまいます。
失速に至らないように、パイロットは操縦をしています。
どのくらい機首を上げればちょうど良いのかは、機体の種類や状況、周囲の天候(風の強さ)などでも変わります。
ちょうどよいところを探るのが、パイロットの腕の見せ所と言えるでしょう。
■ボーイング737-800型機では自動化が実現されている
現在、ボーイング737-800型機では、リターンドフレアモードという機能が搭載されており
フレア操作の自動化が実現しています。
しかし、まだまだ着陸直前までフレア操作が必要な機首もあり
操縦士にとって着陸何度が高い機体も多数存在しています。