グランドスタッフにとっての不測の事態は、フライトキャンセルだけではありません。
メイダイバートやメイリターンという事態も非常に負担になります。
まずメイダイバートやメイリターンという業界用語について、
一般的にはあまり知られていませんので、その部分の解説と
それがグランドスタッフにとってどういう対応が必要になってくるのかを
詳しく見てみましょう。
■メイダイバート、メイリターンとは
メイダイバートとは、その時点において目的地の空港には着陸せずに、
それ以外の代替空港に着陸することです。
目的地の天候が悪化している場合などに、緊急措置として取られます。
メイリターンとは、目的地空港に向かわず出発空港に戻ることです。
これは機体トラブルなどで目的地までの飛行が難しい場合などに取られます。
頭にメイとついているのは、その時点において「おそらく」「かもしれない」という意味です。
主な理由はすでに述べている通り、天候悪化や機体トラブルの他に、
乗客の体調不良、妊婦が産気づいた、重篤な病人が出た、乗客がトラブルを起こした
など様々です。
このような事象が発生すると、コックピットから地上に連絡を入れて
着陸すべき空港が決定されます。
これが近場の空港であればメイダイバート、引き返す場合はメイリターンとなります。
■グランドスタッフの対応
ダイバートやリターンの一報が入ると一気に慌ただしくなります。
グランドスタッフは残業がほとんど発生しないのが一般的ですが、
ダイバートやリターンが発生した場合は、残業確定になり
早番遅番に関係なく総出での対応となります。
普通に考えれば予定していない空港に、数百名の乗客が下りてくるわけですし
そのまま代替の飛行機が用意できるとなれば、その間の乗客対応なども必要になります。
もし代替便が用意できない場合は、乗客単位で別便を探すなどの対応となります。
特にこのような場合は、乗客のストレスは最高潮に達しており
フラストレーションのたまっている乗客の対応をすることは非常に難しくなります。
場合によっては他社のグランドスタッフとも連携し、旅行会社、ホテルなどの
他業種のスタッフとも連携しなければなりません。
■ダイバートやリターンの解決は何よりも記憶に残る
大勢の乗客を予期せぬ状態でさばいていかなければなりません。
前述のように様々な関係者と連携しながら対応を進めていくので、
刻一刻と変わる状況に臨機応変な対応が求められます。
乗客は1人1人が自分事ですから、誰一人として同じ対応にはなりません。
そういう意味でも、ダイバートやリターンを解決した場合は
グランドスタッフにとって何よりも記憶に残る仕事となるわけです。
ダイバートやリターンが発生しても、何とか乗客の乗り継ぎなどが
スムーズにいったとすれば、それはグランドスタッフの努力のたまものなのです。