外から見えない飛行機の機体の謎 その9

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旅客機は、ただ速く飛べばよいわけではありません。
燃費や機体への負担、天候、ほかの航空機との安全な距離など
さまざまな条件を考慮しながら飛行しています。

さらに、乗客には見えないところでも、離着陸時の安全を確保するための細かな作業が行われています。
今回は、旅客機の速度や飛行ルート、ドアモード、シートベルト着用サインについて詳しくご紹介します。

■旅客機はなぜマッハ0.85程度で飛ぶの?
旅客機は、音速を超えることなく、おおむねマッハ0.85程度の速度で巡航します。
もちろん、超音速で飛行すれば目的地までの所要時間を短縮できます。
かつて運航されていたコンコルドは、その代表例です。

しかし、速度を上げればよいことばかりではありません。
高速になるほど空気抵抗が増え、燃料消費が大きくなります。
さらに機体やエンジンへの負荷も増し、振動によって乗客が不快に感じる可能性もあります。

特に音速に近づくと、空気の圧縮によって衝撃波が発生し、空気抵抗が急激に増加します。
そのため、速度を上げるほど燃費が悪化し、運航コストも高くなります。

こうした燃料費や機体への負担、乗り心地などを総合的に考えると
旅客機にとってマッハ0.85前後が、速度と経済性のバランスに優れた巡航速度となるのです。

■旅客機は決められたルートを飛んでいる?
旅客機は、大空を自由に飛び回っているわけではありません。
基本的には、航空路(エアウェー)と呼ばれる空のルートに沿って飛行しています。

航空路には一定の幅があり、航空機はその中を飛行します。
また、同じ方向から来る航空機だけでなく
反対方向へ向かう航空機とも安全にすれ違えるよう、高度を分ける仕組みが設けられています。

ただし、実際の飛行ルートはいつも同じとは限りません。
特に日本と北米、オーストラリアなどを結ぶ長距離路線では複数のルートが設定されており
天候や風向き、航空交通の状況などを考慮して、そのとき最も効率的なルートが選ばれます。

そのため、機内誌などに掲載されている航路図と
実際に搭乗した便が飛ぶルートが異なることもあります。

■「ドアモードの変更」とは何をしている?
離陸前、乗客が搭乗を終えると、客室乗務員に
「ドアモードを変更してください」という指示が出されます。

これは、旅客機のドアに備えられた緊急脱出用スライドを使用できる状態に切り替える作業です。
通常は「ディスアームド」の状態ですが、離陸前には「アームド」に変更します。

アームド状態にしておくと、緊急時にドアを開けた際
脱出用スライドが自動的に展開する仕組みになっています。
客室乗務員は各ドアを確認しながら、この切り替えを手作業で行っています。

到着後には反対にディスアームドへ戻します。
これによって、通常の降機時にドアを開けても、スライドが誤って展開することを防いでいます。

■シートベルト着用サインはいつ消える?

離陸後、機体が安定した高度まで上昇すると、シートベルト着用サインが消されます。
この判断を行うのも、パイロットの重要な仕事です。

ただし、単に水平飛行へ移ったから消すというわけではありません。
今後、強い揺れが発生する可能性が低いかどうかを、気象情報や機体のレーダー
管制情報、先行する航空機からの報告などをもとに判断します。

乱気流の発生が予測される場合には
あらかじめシートベルト着用サインを点灯させ、乗客に注意を促します。

それでも乱気流は完全に予測できるものではありません。
突然強く揺れることもあるため、サインが消えているときでも
乗客は可能な限りシートベルトを着用しておくことが大切です。
快適な空の旅の裏側では、パイロットや客室乗務員が常に安全を見守っているのです。