海外では個人用モニター装備のLCCも出現
LCCは機内サービスを必要最小限に抑えていますが、その内容は各社さまざまです。飲み物を全て有料にしているLCCもあれば、軽食やソフトドリンクを無料で提供しているLCCもあるのです。日韓線の一部では、短距離路線にもかかわらず軽食やソフトドリンクが無料です。
また、クラス編成の面でも航空会社によって違いがあります。
LCCは基本、エコノミークラスの単一クラス編成です。しかし中・長距離路線の一部LCCでは、上級クラスを設定していることもあるのです。中には、エアアジアXのように、上級クラスにシェル型のフラットシートを導入するところまで現れています。
日本とは違い、LCCの歴史が長い欧米では、旅客数ベースで3割から4割がLCCを利用しています。そして今では、エコノミークラスの場合、域内を運航するLCCとFSAのサービスに違いが見られなくなりつつあります。
事実、北米内では、軽食や飲み物などを有料で販売するFSAが一般的となっています。それに対してLCCのヴァージン・アメリカ航空は、米国の国内線にファーストクラスを設定しています。しかもA320の場合、シートピッチが FSAの国内線の一般的なファーストクラスよりもゆったりとした 約140cmの仕様になっています。
FSAの場合、個人用モニターが標準のサービスとなりつつあります。しかしLCCでは、ほとんどの場合 装備されていません。事実、日本に就航するLCCでは、上級クラスを含めても個人用モニターを装備しているところはありません。
ただ、中・長距離フライト路線を運航するジェットスター航空やエアアジアXでは、モニターの代わりにポータブルメディアプレイヤーを用意しています。しかし、ジェットスター航空のビジネスクラスを除いて、全て有料となっています。
なお、LCCの先進国である米国では、エコノミークラスでも全席に個人用モニターを装備しているLCCもあります。ジェットブルーやヴァージン・アメリカなどですが、衛星TVの生番組や音楽番組など様々なプログラムが無料で視聴可能です。(ただしLCCによっては、映画などの一部コンテンツは有料。)
クレジットカードを使って有料サービスを受けよう
大手航空会社では飛行機に乗るときに、座席の背面の個人用TVで封切り前のハリウッド映画をオンデマンド配信で見ることができます。
しかしLCCではこうしたサービスをカットすることでコストを削減していますから、機内エンターテイメントを楽しむことは一般的に出来ません。
しかし、ニューヨークのJFK空港を拠点とするジェットブルー航空では大手航空会社同様に機内エンターテイメントを楽しむことができます。
ジェットブルー航空は2002年にテレビプログラムを製作するライブTV社を買収しました。
そして1~36チャンネルを無料で、37~40チャンネルを有料で機内放送しているのです。
ジェットブルー航空は安い運賃でも機内サービスは両立できると主張しています。
実際に一般的なLCCのように安い布の座席をぎゅうぎゅうに詰め込むのではなく、全席革張り座席で、大手航空会社よりも広い座席ピッチのエコノミークラスを実現しています。
この他にもバージーングループの関連会社であるアメリカのLCC、バージンアメリカでは機内食や飲み物なども座席背面のタッチパネル画面からオーダーすることができます。
こちらも内臓のカードリーダーにクレジットカードを通すことで決済ができるのです。
このように一部のLCCでは機内サービスがクレジットカードで受けることができます。
しかし、機内エンターテイメントについては今後益々衰退していくのでないかと考えられています。
スマートフォンやタブレットが普及し、Wi-Fiさえあれば自分のモバイル端末で映画を見たりゲームをしたりすることができるからです。
タイのLCCノックエアでは2014年からWi-Fi無線のインターネットが利用できる機体が就航しています。
今後はLCCでもWi-Fiが使える機体が増え、その回線を有料化するでしょう。