航空機はいつ見ても機体がキレイに見えます。
これはフライトの後に汚れた機体を清掃しているからです。
しかし機体清掃は単純に機体を掃除するだけでなく、別の意味もあります。
それは腐食防止のためでもあるのです。
機体掃除を疎かにしてしまうと、機体はみるみる腐食してしまいます。
では、どうして掃除をしないと腐食してしまうのでしょうか。
その理由などを細かく見てみましょう。
■積雪時に滑走路に巻く融雪剤
冬、積雪する地域の空港では、滑走路の雪を解かすために融雪剤をまきます。
この融雪剤が機体に付着すると、腐食の原因となってしまうので
ケロシンなどを使用して機体全体を丁寧にクリーニングします。
清掃を丁寧にすることで、機体そのものを長持ちさせることに繋がります。
適当にしていると機体が腐食してしまい、それが原因で事故が起こる可能性もあります。
■機体清掃をする時間
機体清掃は航空機が着陸して、次のフライトまでの駐機時間中に行うのではなく、
主に航空機が運航しない夜間帯に行われます。
機体は非常に大きく、かつ部品は細かな凸凹があったりするので、
清掃はかなり大がかりになり時間もかかります。
そのため、駐機している短い時間での清掃では限界があるので、
夜間の運航しない時間を活用しているのです。
■クリーニングの方法には2種類ある
一般的には、5日毎に行われるドライ・クリーニングと
45日毎に行われるアルカリ洗剤を使うウェット・クリーニングの2種類あります。
ドライ・クリーニングでは表面の簡単な汚れを落とすもので、
ウェット・クリーニングは細部にわたって入念に汚れを落とします。
■掃除はかなりの規模になる
ウェット・クリーニングはボーイング777などの大型機になればなるほど、
大がかりな掃除になります。
通常、15~20人がかりでモップを使い、機体全体を3時間ほどかけて
クリーニングします。
この手洗いによるクリーニングでは、25トンもの水を使い
アルカリ洗剤は50キロにもなる大規模なものです。
このクリーニングで使用した水は、浄化し再利用されていますが
それでもかなりの水を消費していることになります。
■最新のクリーニングは手洗いではなく機械式
最新のクリーニングは手洗いではなくコンピュータで制御された
自動洗浄装置によって行われています。
この自動洗浄装置を使うことによって、使用する水の量もへり
クリーニングにかかる人員も5人程度で、時間も100分ほどで終わるようになりました。
各清掃ユニット装置にブラシが付いていて、それが回転し
細かな部分までクリーニングしていく仕組みとなっています。
これにより時間、人手など大幅なコスト削減につながっているのです。
機体を掃除しなければ腐食してしまい、飛行機の寿命を縮めたり
事故発生の原因となったりするので欠かすことができません。
機体のハイテク化が行われると同時に、掃除という付帯作業においても
技術革新が進んでいることがわかります。