空港という場所は、日々多くの人が行き交い、さまざまなドラマが生まれる特別な空間です。
グランドスタッフとして働いていると、予想もつかない出来事や
時には少しだけ背筋が寒くなるような体験に出会うこともあります。
今回は、そんな現場で実際に語り継がれている「不思議な話」をいくつかご紹介いたします。
■客室での人数確認にまつわるエピソード
グランドスタッフは、飛行機の出発前に客室へ入り、搭乗者の人数を目視で確認することがあります。
この作業は「キャビンチェック」と呼ばれ、改札を通らずに搭乗してしまったお客様がいないかを確認するために行います。
ところが、人数を数えてみると「1人多い」ということが、ごく稀に起こるのです。
別のスタッフが再確認すると問題がなかった…ということもよくありますが、
霊感の強い先輩スタッフが担当していた場合、周囲が静かにカウンターを引き取る、なんてことも。
冗談めかしてはいますが、航空業界では「見える人」が意外と多いと感じています。
■不思議なゲートとスタッフの反応
ある後輩スタッフは、特定の搭乗ゲートで勤務することを極端に嫌がっていました。
そのゲートでは、誰もいないのに声が聞こえる、開けた覚えのない扉が開いているなど
以前から奇妙な出来事がいくつか報告されていたのです。
入社直後からそのような感覚を抱いていたという彼女の話に、最初は戸惑いましたが
他のスタッフも同じような体験をしていたことから、現場では「そういう場所」として、自然と共有されているようでした。
■客室乗務員の間でもささやかれる話
キャビンアテンダントの知人からも、機内や宿泊先での不思議な体験談を聞くことがあります。
たとえば、長距離便の仮眠スペースで、確かに誰かが寝ていたはずなのに
次に確認すると誰もいなかったという話や、決まった部屋で「何かを感じる」といった声も。
航空会社が契約しているステイ用のホテルでは、「あの部屋は出る」という噂が流れることもあります。
そのため、霊感が強い人の中には、塩を持参して部屋を清めてから休む方もいるそうです。
■修学旅行フライトでの異変
ある日、200人ほどの修学旅行の団体を乗せた便で、機長から無線が入りました。
「十数人の生徒が錯乱状態にある」とのこと。
急遽、到着ゲートには車椅子や救急隊の出動が求められ、私も対応に駆けつけました。
現場では、泣き出す女子生徒や、見知らぬ古い方言で叫ぶ子、失神している子などが複数おり、
状況は非常に混乱していました。
旅行先では、戦没者を祀る場所を訪れていたとのことで、その影響かもしれないと関係者の間でささやかれていました。
もっとも衝撃だったのは、上司が「お祓いを検討しよう」と真剣に話し合っていたことです。
このような対応マニュアルがあるわけではありませんが、業界では過去にも似たようなケースがあったようです。
■空港という場所の特異性
空港には、多くの人が世界中から訪れ、さまざまな思いや感情が交錯しています。
そのためか、時折説明のつかない出来事が起こることがあります。
こうした話を信じるかどうかは人それぞれですが、私たちが働く現場では、
「何かあるかもしれない」と思わざるを得ない場面に出会うこともあるのです。