一見するととても地味で、地道な取り組みではありますが
コツコツ続けることで高い評価を受けるようになったのが愛媛県松山市にある松山空港です。
松山空港はごくごく普通の地方空港です。
就航路線を見ても特徴的なものはありません。
どこにでもあるような地方空港ですが、一方で自転車愛好家の間ではとても評判が良いです。
彼らがSNSに書き込んだ観光情報や口コミなどを見て、更に利用客が増えという
サイクリスト達の間で好循環が起きているのです。
もともと愛媛県と広島県はサイクリストが多く集まるエリアではありました。
というのも愛媛県と広島県の間には「しまなみ海道」というサイクリングロードがあるからです。
この海道は全長70kmにも及ぶ長い海道で、同時に日本初の海峡を渡ることができるサイクリングロードでもあります。
台湾にある世界的な自転車メーカー「ジャイアント」の会長が実際にしまなみ海道を走行し
その素晴らしさを絶賛したことから一気に注目が集まったのです。
実際、海、空と一体になりながら潮風を感じ、最高の走行ができると素晴らしいサイクリングロードです。
しかし、この海峡を渡るだけであれば愛媛県でなくとも良いでしょう。
広島県には原爆ドームをはじめとして多くの観光地などがあり人気のエリアでもあります。
そんな中、サイクリストたちが敢えて活動の拠点が愛媛になる松山空港をわざわざ利用するのでしょうか?
これにはきちんと理由があります。
それが松山空港が地道に行っている「おもてなし」です。
松山空港はサイクリストたちが快適に走行するために必要な支援を積極的に行っています。
例えば空港にはサイクルステーションが設置されています。
ここでは自転車に空気を入れたり、各種メンテナンスに必要な整備道具のレンタルなどが可能です。
自転車はそのままでは大きいので飛行機載せることができません。
このため世界中から集まるサイクリストたちは一度自転車をバラバラにして飛行機に積み込みます。
現地に到着して、彼らがまず行うことはバラして運んできた自転車の組み立てです。
組み立てには道具やスペースが必要です。
普通の空港であれば、空港から出た後に場所を変えて組み立てなくてはいけませんが
松山空港のサイクルステーションなら到着直後に空港で自転車を組み立てることができます。
整備道具はレンタルできるので、邪魔な道具をあれこれ持ってくる必要もありません。
更にサイクルステーションでは自転車を梱包してきた袋なども預けることができるため
自転車走行に必要なものだけを持ってすぐにサイクリングに飛び出すことができます。
こうしたターゲットを絞った地道な取り組みが「愛媛=サイクリストのメッカ」と称される所以です。
空港をどんな人達が好んで利用するのか?というユーザービリティに立ち返った発想が結果につながったと言えるでしょう。
他にもサイクリング好きな方に人気なのが青森県にある三沢空港と鳥取県にある米子空港です。
どちらの空港も周辺は美しい風景が広がる空港で、レンタルサイクルが用意されています。
空港周辺を手軽にサイクリングできるとして評判が良い取り組みです。