自動車の運転免許は短い人なら3年、優良運転手は5年となっている。
もし自動車免許の更新が1年や半年なら、大変なことになります。
毎年更新なんて面倒でどうしようもないですよね。
では、飛行機の機長はどうでしょうか。
自動車と同じく3年や5年での更新ではないかと思っている人も多いでしょう。
■そもそも機長になることが大変
国際線旅客機の機長ともなると、その職に憧れる人はかなり多いです。
しかし機長になるのは並大抵の努力では難しく、
・副操縦士になるまでに5年
・副操縦士になってから更に10年以上
とも言われています。
そして機長になれたとしても、それを維持するのは至極困難な道のりなのです。
■機長へのルート
機長になるためには、いくつかのルートがあります。
まず、航空会社に入るための2つのルートを見てみましょう。
・航空大学から航空会社に入社する
航空大学の修業期間は2年4カ月で、航空会社に入社してからは
プロのパイロットとしての高度な訓練が2年以上続きます。
・大学卒業後に航空会社の自社養成パイロットに応募する
応募しても必ずしも採用されるわけではなく、倍率はかなり高いです。
そして採用されてもその先の訓練は非常に過酷なものになります。
これらのルートを使って、航空会社に入るところがスタートラインとなり。
その先に更なる競争が待っているのです。
■車とは比べ物にならない
一般的には入社後に基礎訓練を受け、事業用操縦士と計器飛行証明の
資格を取得し、副操縦士としての昇格訓練へと進みます。
副操縦士になると、路線飛行を7~8年経験します。
総飛行時間3000時間以上、定期運送用操縦士の学科と実地試験をパスすると
ようやく機長昇格訓練の予備課程へと進みます。
ここまできて、まだ予備課程です。
その後も厳しい訓練を継続して受け、最終的に航空会社と航空局の
審査に合格すると「機長」になれます。
■機長になってからも大変
機長になってからも油断できません。
訓練の審査が連続して行われます。
まず、運行するすべての路線資格を取得しなければなりません。
次に、6カ月毎に行なわれる定期技能審査があり、技量審査、口頭試験、筆記試験がある。
それとは別に6カ月毎にフライトシミュレータを使った訓練があり、
技能審査ではエンジントラブル、緊急降下など緊急時の対応を審査されます。
更に、6カ月に1回の頻度で航空身体検査が行なわれ、基準を下回ると
乗務停止となりライセンスははく奪となります。
■機長のライセンス有効期限は6カ月
このように機長のライセンス有効期限は6カ月と短いことが分かりました。
車の運転とはレベルが違います。
その理由は旅客を運ぶ責任者であるという点につきます。
機長は旅客の命を預かり、目的地まで安全に運ぶことが求められるため、
このような厳しい審査が行なわれているのです。
これらの審査無しに機長として飛行機を飛ばすとすれば、
あなたなら安心してその飛行機に乗れるでしょうか。
この安全、安心こそが機長に求められるレベルの高さなのです。