「塵も積もれば山となる」というのは先人が残した素晴らしいことわざです。
塵のように価値のないようなものでも、降り積もることで山のように大きなものになることがある……
そんな意味のことわざは、仕事においても決して無視できることではありません。
大きな改革、大きな手柄に人はついつい目を向けてしまいますが小さな努力の積み重ねが評価に繋がります。
一つ一つはとても小さな節約で、効果としては小さいかもしれないものでも
長く続けることで、積み重なり、そしてその効果はとても大きいものに繋がります。
例えば、LCCのPeachが導入したのが「ダンボール製のチェックイン機」です。
チェックインにつかう機械、コンピューターが内蔵されているものですから
当然その筐体はしっかりした素材で作ることが想定されるでしょう。
ところが、Peachのチェックイン機の開発者は異例の選択……ダンボールで作ることを選択しました。
ダンボールでチェックイン機を作ったのには、費用をできるだけ抑えたいということ
また、運搬や設置に関して他者の介入をさせずに自分たちでできるように最軽量になること
というものがありました。
これも塵も積もれば山となるです。
1台1台にかかる費用を抑えることで、全国の飛行場にチェックイン機を設置するときには
大幅なコスト削減を実現できるでしょう。
そしてこの「塵も積もれば山となる」は「スピーディー」という点にも注目しました。
Peachのチェックイン機はお客様がスピーディーにチェックインできるように様々な工夫がされています。
私達利用者がPeachに登場する際、チェックイン機に並ぶと、「チェックイン受付中」という文字と一緒に
「お並びの方は旅程表とパスポートをご用意ください」といった次の行動を促すアナウンスが
大きな文字でわかりやすく表示されます。
こうした指示を具体的に出すことで、利用者は待っている間の時間を無駄にせず有効活用することができます。
通常チェックインにかかる時間を1秒でも短くすることができれば、これは大きなことです。
Peachの飛行機は1便に180人が登場できますから、1人1秒の短縮で3分の短縮が可能です。
空港に機体が到着してから30分で折り返すPeachにおいて、この3分は1/10の時間でかなり大きな意味を持ちます。
更に関西空港では1日に60便以上が離発着していますから、この1秒はとても大きなものなのです。
同様に塵も積もればを実践しているのが座席数です。
多くのLCCで採用されているシートピッチはANAなどの大手航空会社に比べて短く
そうした旅客機に乗り慣れている方からすれば少し窮屈に感じるかもしれません。
しかし、ほんの少しピッチを短くしたことで、Peachの座席数は166席から180席と
14席分増やすことに成功しています。
1つの飛行機が飛ぶたびに14人分多く運べるということですから、これは大きな差が生まれます。
勿論、ピッチを決定する歳には、社員たちと入念にテストを行ったそうです。
どのくらいの時間であれば狭い座席でも不愉快に思わずに過ごすことができるか
徹底的な検証を行ったため、現在、多くの利用者がPeachに搭乗することを選んでいるのでしょう。
結果として「山」を手に入れたいのであれば、大きな試みをするよりも塵を積もらせればいいのです。
目標とする「山」に対して、大きなミッションをクリアするのは難しくとも、ほんの少しであれば効率化できることはあるでしょう。
それを積もらせることが、大きな効率化の手助けになるのです。