妊婦さんが飛行機に乗っていて、上空で産気づき
その場で医師や看護師の救護を受けつつ出産するケースはたまにありますし
ニュースなどでも見かけます。
その場合、妊婦が日本人でかつ国内線の場合は何の問題もないのですが、
妊婦が日本人で国際線に乗っている場合は少々ややこしくなります。
それは生まれてきた赤ちゃんの国籍がどうなるかです。
この問題については、いろいろな条件で判断されることになりますので
そのあたりを詳細に見てみましょう。
■飛行機がどこの国に所属しているか
まず乗っている飛行機がどこの国に所属しているかが1つ目のポイントになります。
例えば、日本人国籍を持っている母親が、アメリカのサウスウェスト航空の中で
出産した場合は、アメリカ国籍を取得できます。
アメリカ国籍を取得できるとなると、生まれてきた赤ちゃんは
アメリカ人になるのかというとそうではありません。
生まれた赤ちゃんの国籍を決定するのは、両親の国籍次第ということになります。
それは両親の国がどのような出生主義であるかに依存します。
では、次に出生主義について見てみましょう。
■両親の国がどのような出生主義をとっているか
もし両親のどちらかが日本人の場合、日本の法律では「血統主義」となっているので
生まれた赤ちゃんはどこの航空会社の中で生まれたとしても、日本国籍を取得できます。
そのため、アメリカ所属の飛行機の中で生まれた赤ちゃんから見ると
日本国籍もアメリカ国籍のどちらも取得できる状態になります。
自動的にどちらの国籍も保持することになりますから、
こういったケースで生まれた赤ちゃんを「重国籍者」と呼びます。
そしてこの場合は、3か月以内に提出する出生届で
「日本の国籍を留保する」という欄に署名、押印することで意思表示となります。
これをしないと日本国籍を失うケースも出てきます。
■22歳までに国籍を決めなければならない
「重国籍者」は22歳になるまでに、どちらかの国籍を選ばなければなりません。
もし選ばなかった場合、日本国籍を失うことになります。
「重国籍者」でもアメリカで生活していれば、アメリカ国籍を選択するでしょうし
日本で普通に暮らしていれば日本国籍を選択する人が多いのが事実です。
問題はそういった手続きをしなければならないという点です。
忘れてました、では通用しませんので、「重国籍者」は必ず22歳までに
国籍の選択を済ませておく必要があります。
22歳直前になって選択する人もいますし、早々に決めるケースもあります。
人によりますので、自分のアイデンティティを鑑みて判断することになるでしょう。
自分のルーツ、将来にも関係してくる選択になると言えば重い話になりますが、
基本的に両親が日本人であれば、迷うケースは極少数のようです。