皇室関係者、政府要人などが海外訪問する際に使用する飛行機は、
1990年までJALとANAが交互に飛行機を提供していた経緯があります。
しかし1991年からは政府専用機が導入され、尾翼には大きな日の丸が
あしらわれており、当初の機種はボーイング社の747-400で
かなりハイテクなジャンボ機でした。
ではその後、どのように運用されているのか詳細に見てみましょう。
■政府専用機は特別仕様になっている
ボーイング社は世界各国は所有している政府専用機や
国家元首専用機の8割ものシェアを誇っています。
日本もそういった経緯を踏まえて、ボーイング社を選択したのでしょう。
2019年からは最新機種のボーイング777-300に変更となっており、
2機購入しての運用となっている。
専用機の内装は特別仕様で、執務室や随行員のための乗務室や
会議室、行動記者団との記者会見をする部屋まで用意されています。
まるで空を飛ぶ首相官邸といった感じですね。
■使用する空港は羽田空港
国際線として使用される専用機ですが、使用する空港は
成田空港ではなく羽田空港です。
理由は皇居、首相官邸をはじめとした国会関連施設が都心にあるため
そこからのアクセスのしやすさやセキュリティ面などもを考慮した結果です。
これは外国の要人が訪日する際も同じで、羽田空港が使われます。
そのため、羽田空港には専用機の離着陸用に、専用の駐機場も整備されています。
よくニュースで海外の要人が到着した際に目にする、機体から降ろされた
タラップの先に赤い絨毯の通路が作られるのが、その専用駐機場なのです。
■政府専用機を操縦するパイロット、客室乗務員はどこに所属している?
政府専用機に乗り込むパイロットを含め客室乗務員は航空会社に所属していません。
どちらも航空自衛隊の自衛官で、千歳空港に所属している特別航空輸送隊が
その業務を担当しています。
そのため政府専用機も普段は、千歳空港に駐機されていて
フライトの日程が決まると羽田空港へと移動してきます。
■政府専用機は2機あるが、同時にフライトする
前述のように政府専用機が2機あり、1機は予備機扱いとなっている。
しかし片方がフライトしている間は、待機しているのではなく
必ず2機一緒にフライトします。
理由は万が一の故障時に日程に変更が生じないようにすることと、
代用機として常に一緒に航路を飛ぶことで、トラブルへ対処することも含まれています。
また、機体を整備する整備担当も自衛官でフライト時には同行します。
■念には念を入れている
このように政府専用機は不測の事態があってもそれに対応できるように、
国が予算をつけて安全性を担保していることがわかります。
また、政府要人であっても政府専用機を使わずに海外へ渡航することもあります。
一概にすべての要人が政府専用機を使うわけではないのです。