航空機の安全性については、日々数多くの研究が行われており、新しい技術が開発・導入されています。
飛行機が事故に遭う可能性というのはとても低く、理論上は安全性が高い乗り物と言えます。
しかし、一度事故が起きてしまえば、重大な被害に繋がりやすく、その影響は甚大です。
このため、少しでも事故が起こる確率をゼロに近づけようと様々な取り組みが行われているのです。
■ウインドシアの危険性は侮れない
ウインドシアというのは、風の状態です。
局地的に風向きや風速が急激に変化する現象をウインドシアといい
この現象に飛行機が遭遇してしまうと、事故に至る危険性が高くなります。
航空機は、大気と機体の速度差によって飛行に必要な揚力を得ています。
このため、風向きや風速の変化は航空機の運行に大きな影響を与えるのです。
■特に危険性が高いダウンバースト
ダウンバーストは、積雲や積乱雲から発生する冷えて重たくなった強い下降気流が途中で弱まることなく
爆発的に地表近くまで吹き下ろされることで、放射状に広がり強い風となる現象です。
広がりが4km以上をマクロバースト、4km以内をマイクロバーストといい
マイクロバーストの方が強い風を伴うことが多いとされています。
飛行機が万が一、ダウンバーストに巻き込まれてしまうと
上空からの風が噴流のように地表に叩きつけられ、四方へと散らばっていきます。
飛行機は向かい風になったり、追い風になったりと風向きの急激な変化に遭い
揚力が現象して地面に叩きつけられるおそれがあります。
2009年3月に、成田空港に着陸しようとした貨物機が着陸に失敗し2名の乗員が犠牲となる事故が起きました。
この原因がウインドシア(ダウンバースト)ではないかとされています。
■ウインドシアを回避する仕組み
ウインドシアが航空機に与える危険性が明らかになったのが1980年代です。
そこから様々な防止策がとられるようになり、空港が作られる場所は
比較的風向きの安定した土地が選ばれています。
合わせて、空港や機体にはウインドシアの監視装置、警報装置が設置されており
ウインドシアが起こりそうな危険がある場合には着陸許可がでない仕組みとなっています。
航空機にはダウンバーストを検知するためにドップラーレーダーが設置されており
これによりダウンバーストの発生を事前にキャッチすることで、事故の件数を減らしています。