飛行機で移動する場合、日本からアメリカ間のフライト時間は
日本からの出発便の方が、アメリカからの復路便よりも1時間ほど
フライト時間が短くなっています。
どうして同じ距離を移動するのに、フライト時間が異なっているのか
その理由について見てみましょう。
■偏西風によってフライト時間が変わる
日本からアメリカに移動する場合、偏西風に乗って移動するので
飛行機は追い風を受ける形となりフライト時間が短くなります。
逆にアメリカから日本へ移動する場合、偏西風が飛行機にとっては
向かい風となるのでその分だけフライト時間が長くなります。
これによって同じ航路でも西から東、東から西によって
目的地までのフライト時間が変わってくるのです。
■偏西風の正体は何?
偏西風とは、地球が自転することで発生している上空に吹く強い風の流れで
西から東へと吹いています。
この風を日本語では偏西風、英語ではジェットストリームと呼び、
飛行機だけでなく海を航行する船もこの風の影響を受けています。
偏西風は北緯30度~50度あたりの対流圏~成層圏の間で吹いており、
中心部では時速200キロ~400キロもの速度に達しています。
高度が丁度1万メートルあたりとなるので、丁度飛行機の巡航高度と
同じ場所になるので、ダイレクトに影響を受けるのです。
■飛行機の航路は偏西風を意識して作られている
この偏西風は飛行機にとって無視できない存在であることから、
多くの航路はできるだけ偏西風が追い風になるように作られています。
但し、アメリカからアジア地域への移動のように、どうしても
東から西へ移動するような場合は向かい風を避けることができません。
■冬は季節風も影響する
冬になると季節風も加わってくるので、春から秋にかけての偏西風よりも
より強い風になることが多く見られます。
過去の例では、アメリカを出発した飛行機が、強い偏西風の影響を受けて
飛行時間が伸びてしまい燃料不足となって、急遽、目的地の成田空港ではなく
新千歳空港に着陸して燃料を補給するというケースもあったほどです。
■南北の移動には影響しない
偏西風は常に西から東に向かっているため、日本-オーストラリアなど
南北に移動するような航路ではその影響は殆んどありません。
そのため、往路、復路もフライト時間に差は出ないのです。
■まとめ
地球の自転によって発生する偏西風は、飛行機のような大きな乗り物でも
飛行時間に影響を与えるほどの強さで吹いています。
地上に住んでいる私たちには時速200キロ以上もの風を体感使用と思えば、
台風により暴風を想像してみるとよいでしょう。
風速60メートル近くの風を時速に変換すると丁度200キロ程度になります。
偏西風はこれよりも速い速度で吹いているので、もはや想像できない強さ
であることが分かるかと思います。