高速旅客機と言えば「コンコルド」を思い出す人も多いでしょう。
あの独特の細長いくちばしのようなフォルムは今もなお人気が高くファンが多い旅客機です。
そんなコンコルドを超える超音速の旅客機が開発され話題となっています。
高速旅客機が就航!?
アメリカのブーム・テクノロジー社が開発した超音速旅客機「オーバーチュア」を
ユナイテッド航空が15機購入したことが明らかになりました。
2016年に開発が公表されてから、多くの人が開発を見守っていたこの機体は
66~88席を配する旅客機でマッハ1.7で高度6万フィート(約1万8300m)を巡航します。
この機体が実用化されれば、東京とアメリカ(シアトル)がなんと4時間半で
東京とアメリカ(サンフランシスコ)をおよそ6時間で移動できるようになります。
大幅な時間短縮が実現されることとなり、旅行好き、飛行機好きにとって見逃せない話題です。
実際の就航は2029年を予定しているということで、就航が楽しみに待たれます。
かつて多くの人を魅了したコンコルド
コンコルドはイギリスとフランスが共同で開発した超音速旅客機です。
1956年頃から始まり、62年から共同で開発が行われました。
1970年にはマッハ2.0を記録しました。
これは一般に現在飛行している飛行機の倍近い速度です。
当たり前ですが、音速を超えるということは、音よりも早く飛ぶということです。
運動会の時、遠くでなったピストルの音がグラウンドの隅に届くよりも早く
人を乗せた飛行機が飛ぶと考えると、その速さに改めて驚くのではないでしょうか。
この開発は簡単に行われたわけではありません。
技術的な問題、素材的な問題、予算的な問題など様々なハードルを乗り越え
コンコルドは開発され、就航されることとなったのです。
なぜ使われなくなったのか?
遠い土地を音速で結ぶコンコルドですが、なぜ今空を飛んでいないのでしょうか?
それには沢山の不幸があります。
①思ったよりも売れなかった
音速で飛ぶコンコルドは通常の旅客機よりも長い滑走路が必要です。
更に速度や飛行高度の関係で乗り入れ国や通過国から反対が上がり
就航路線が限られてしまったのです。
コンコルドが量産されれば十分に採算が取れる計算でしたが
就航路線が限られてしまうことで採算性が極めて悪くなってしまったのです。
250機生産されればOKというところ、実際に製造されたのはたった20機。
巨額な損失を生み出すこととなってしまいました。
②騒音や排気ガス問題
音速で飛ぶため、コンコルドが飛ぶ時にはソニックブームが発生します。
これは耳を覆いたくなるような騒音で、アメリカはコンコルドが上空を飛ぶことを禁止しました。
また通常の旅客機よりも高い高度で大量の排気ガスを出すことが
オゾン層に深刻な影響を与えるとして大気汚染問題が持ち上がりました。
③墜落事故が起きた
上記のような不具合から風当たりは非常に強い中
それでも運行を続けていたコンコルドですが2000年に離陸直後に墜落事故が起きます。
この事故では113人もの死者が出たことから徐々に運航ができなくなり
2003年にはひっそりとその姿を消してしまったのです。
超音速旅客機「オーバーチュア」はコンコルドを超えられるか?
数々の問題点を乗り越えられず、高い技術力を誇りながらも消えていったコンコルドと
今開発されているオーバーチェアはどういった違いがあるのでしょうか?
比べてみるとサイズはコンコルドとオーバーチュアのサイズはほとんど同じですが
大きな違いは持続可能な燃料(SAF)のみで運行するという点です。
コンコルドの騒音の大きさ、燃料の悪さなどはクリアできる見込みです。
実際に2029年に就航できるかどうかはわかりませんが
本当に運行することになれば大幅に移動時間が短縮されることとなり
旅行業界に大きな革命を与えることが機体できますね。