かつてLCCが普及するまで、飛行機に乗るのは高額な料金がかかるものとされていました。
国内線であっても片道数万円もする飛行機は、交通手段の中でも特別なものであり
よほど遠方に行く時以外に、気軽に乗れるものではありませんでした。
そんな常識を覆したのがLCCの登場です。
日本では諸外国に比べてLCCの普及には時間がかかりましたが
2000年に航空運賃が自由化されてからLCCは急激に就航路線と利用者を増やしました。
国外線となれば更に高額になっていた航空チケットが、関空から台湾までLCCなら5000円以下で発売されることもあります。
週末気軽にふらっと大阪から台湾に1泊2日の弾丸ツアーなんていうこともできますし
逆に台湾から月に一度のペースで沖縄に遊びに来る人もいます。
LCCはチケットがとても安いため、安全性に問題があるのではないか?
十分な点検や研修が行われていないのではないか?と最初の頃は敬遠する人も多かったようです。
しかし現在では、そんな風に考える人はかなり少なくなっているでしょう。
実際LCCが日本で就航してから飛行機事故は起きていません。
LCCが格安で運航できるのは徹底した経費の節減が理由です。
例えば、LCCで使用される機体は多くの場合たった1種類に限定されます。
機種が一つしかなければ、整備にかかる時間を短縮できますし、交換部品を機体に合わせて
あれこれ用意する必要もなくなります。
整備士の育成にかかる時間も必要な機体についてだけ覚えればいいので短縮することができるでしょう。
同じ理由でLCCでは基本的に新品の飛行機が導入されています。
格安に抑えるために安い料金で購入できる中古を選ぶ、のではなく
長期的に見てメンテナンス費用を抑えられるように新品を購入するのです。
また、空港にかかる費用も節約しています。
LCCが就航するのは大人気の空港よりは、都心部から少し離れた場所にあるような
利用者数がそれほど多くなく施設利用料が安いところが選ばれます。
空いている空港の場合、乗客をおろしたらすぐに次の準備に向かうことができるので
効率的な輸送ができ、1台の飛行機が1日に飛ぶ回数を多くすることができます。
チケットの購入も窓口による電話案内を廃止し、ネット経由での販売を徹底しています。
空港カウンターに多くの人材を配置しなくて良い分、人件費削減に繋がります。
更に、LCCでは飛行機の座席を、大手航空会社に比べて狭くしています。
大手航空会社では1台あたり150人までしか搭乗できないところを座席を狭くすることで
180人まで最大人数を増やしています。
一度に沢山の人をまとめて運ぶ事ができるので、1席あたりの料金がやすかったとしても
総合的に判断すると大手航空会社よりもぐっと安く抑えられます。
こうした様々な工夫によりLCCは格安での運航を可能としています。