LCCってどんな航空会社なの?
LCCは元々以下のような条件を満たしている航空会社の事を言います。
・ポイント・ツー・ポイント運航
・短時間での折り返し
・サービスの簡素化
・単一機材使用
・サブ空港の使用
・狭く、高密度の座席
・従業員の多機能化
全てを満たす必要はありませんが、LCCとは、上記のような要素を取り入れコスト削減と生産性の向上により航空運賃を安く提供する航空会社です。
現在では一口にLCCと言っても色々なビジネスモデルが生まれているため、もともとのLCCビジネスモデルで現在も運航を続けているのはライアンエア、エアアジアなどごく一部になっています。
最近ではファーストクラスを導入したバージンアメリカや中古機を使用したアレジアントなども人気の高いLCCとなっています。
そもそもLCCの始まりは1971年のアメリカへと遡ります。
テキサス州域内のみを運航する地域限定の航空会社としてスタートしたのがサウスウェスト航空です。
アメリカ合衆国の航空法に縛られない、自由度の高いテキサス州の法律が適用できたため、運賃やサービス戦略を自由に実行できたことが始まりです。
このことがアメリカ国内で話題となり、航空規制が緩和されたのです。
そして1978年以降、いくつもLCCに参入する企業が生まれは消えていきました。
2000年にジェットブルーが新LCCモデルで参入たった5年で収入規模が10ドルを越え注目が高まったのです。
現在、欧州ではアメリカ以上にLCCが浸透しておりアジアでもLCCがどんどん広がりを見せているのです。
LCCの台頭
LCCは現在世界で約120社、運航機材数は約3200機です。対して大手航空会社は235社です。
企業数で比較しても約半数までLCCが迫ってきています。
なぜ、LCCの台頭が目立つようになってきたのか?
そこには2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロがきっかけであると考えられます。
同時多発テロが起こって以来、空港では保安検査が大変厳しくなりました。
大型機の運航ダイヤは大幅に乱れることになり、既存大手航空会社のネットワークに重大な影響が出てしまったのです。
一方、LCCでは既存大手航空会社が使わないようなサブ空港を多く使用していたことや、乗り継ぎ便が到着便を待たずに短時間で折り返し運航をすることなど
ダイヤの乱れが少なく、稼働率は高いままとなりました。大手航空会社が売上高や利益率を落とす一方でLCCは着実に増収、増益を続けたのです。
そして2008年のリーマンショックにより、プレミアム旅客の法人需要が激減しました。多くの企業がコスト削減を迫られる中、交通費にかけられるコストも減りLCCを選択する企業が増えました。
実際に2009年度のIATA(国際航空運送協会)の旅客数ランキングでも国際線ではラインエア、国内線と総合ではサウスウェスト航空が1位となり上位20位にもLCCが沢山ランキング入りしています。
現在大手航空会社(FSA)は生き残りをかけてコスト削減につとめており運賃レベルをLCC並みにしようとしています。
そして低運賃による減収を付帯サービスを充実させることで収入増加をさせようとしているのです。
LCCは予期せぬトラブルに強い
私達の日常は決して常に平和なわけではありません。
2001年には同時多発テロが起こり、世界中の航空業界がパニックになりました。
飛行機に乗ろうと思う乗客自体も激減し、警備体制が強化され、手荷物が厳重にチェックするなど大きなコストも必要になり、経営にも大きな損失を受けました。
イラク戦争、SARSなど様々な予期せぬトラブルが起こり、さらに2008年にはリーマンショックにより世界的な不況が起こりました。
こうした影響で大手航空会社のユナイテッド航空、デルタ航空、ノースウェスト航空が破産法による保護を受けながら運行することになってしまったのです。
日本でも日本航空が倒産してしまいました。
しかしこのような世界規模のトラブルが起きてしまった際にもLCCは着実に成長を続け、利益を計上し続けています。
こうした問題に関しては大手航空会社よりもLCCのほうが強いのではないかと思われます。
なぜ、LCCはトラブルに強いのか?
それはコスト意識が徹底しているため、常に安い運賃を提供していることです。
企業顧客が不況に陥ってしまった際、コスト削減が求められますが、その際には大手航空会社からLCCへと顧客が流れてきます。
更に大きなのが、リスクの大きい長距離国際線は就航していないことが多いからです。
長距離国際線は1往復させるだけでも多額のコストが発生します。
乗客が減ればそれだけどんどん赤字が増えてしまいます。