今回ご紹介するのはデンマークの世界遺産「ロスキレ大聖堂」です。
ロスキレ大聖堂はデンマークの首都コペンハーゲンから列車で20~30分の距離にロスキレ市中心部にあります。
ロスキレ市はシェラン島にあるデンマークで最も古い街の一つであり、ロスキレ大聖堂はシェラン島に現存する唯一の大聖堂です。
ロスキレ大聖堂の建築と歴史
ロスキレ大聖堂は10世紀に建設されました。
建設したのはヴァイキングのハロルド王で、当初は木造の教会でした。
その後何度も建築が繰り返され、現在の建物が建設されたのは
おおよそ12世紀~13世紀の100年間とされています。
約250個の赤レンガが使用された北欧のレンガ造り教会の先駆け的存在です。
最大の特徴は75mの高さを持つ2つの尖塔です。
この尖塔は17世紀頃に付け加えられ、一度焼失しましたが、その後に再建されています。
12世紀~13世紀にかけて、ヨーロッパ建築はロマネスク様式からゴシック様式への移行期でした。
このためロスキレ大聖堂にも両方の建築様式が混在しています。
その後も増改築を繰り返しているためまさにデンマーク建築の変遷を見てとれる貴重な建築物とも言えるでしょう。
歴代の王族が眠るロスキレ大聖堂
ロスキレ大聖堂は現在、歴代王族が眠っていることで知られています。
このため「デンマーク王室の棺の博物館」と呼ばれることもあります。
元々ロスキレ大聖堂はカトリックの教会として創建されました。
16世紀に宗教改革が起こり、この時に福音ルテール派の大聖堂となりました。
15世紀以降からはデンマーク王室の霊廟として使われており、大聖堂内にはなんと40もの王と王妃の棺が安置されているのです。
何世紀にも渡って王の棺を安置するため増築されたため、クリスチャン1世の礼拝堂はゴシック様式ですが
フレデリック5世の礼拝堂はネオクラシック形式となっています。
クリスチャン1世の礼拝堂にはデンマーク国内外の王族の身長の高さが刻まれた柱があり、これも見どころの一つです。
この刻まれた記録によるとクリスチャン1世の身長はなんと219.5cmとなっています。
実は1847年に実際の骨を測定したところ185cm程度だったことが明らかになっていますが
当時の平均身長からするとかなり大きい人物だったようです。
特に注目度が高いのは建築王とも呼ばれたクリスチャン4世の礼拝堂です。
彼は60年にわたって善政を敷き、多くの革命を行ったデンマークの名君としてしられる人物です。
建築王と呼ばれるのにふさわしく展望台「ラウンド・タワー」やローゼンボー城、クリスチャンスタードの三位一体教会など
現存する素晴らしい建築物を数多く残しています。
彼の礼拝堂は建築王の名にふさわしく精工で美しい装飾は宮殿のようなインテリアとなっており
ドーム天井には星が描かれた青い夜空が描かれています。
毎週木曜日にはコンサート
ロスキレ大聖堂には15世紀~16世紀に作られたパイプオルガンがあります。
このパイプオルガンは現在も実際に使われており、夏季は毎週木曜日にコンサートが行われています。
ロスキレ大聖堂を観光で訪れるならこのコンサートも一緒に見学するのが良いでしょう。