仙台空港の民営化について

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空港民営化は経営状況が良くなかった関西空港を売却するために設立したような法律ですが
実際に先に売却され民営化されたのは仙台空港です。

仙台空港が先に話の出ていた関西・伊丹空港よりも早く売却されたのにはもちろん理由があります。
1つ目の理由は仙台空港の所有権を持っていたのが地方自治体である宮城県だということです。
宮城県は東日本大震災で大きな被害を受けており、空港を活性化することで再び人を呼び込み
復興への足がかりにしようと考えたのです。
このため宮城県は非常に積極的に仙台空港の売却に乗り出しました。

2つ目の理由が当時の知事を勤めていた村井嘉浩知事が民主党(現・国民民主党)の
前原誠司・元国土交通大臣と進行があったことも影響していると言われています。
空港の民営化は民主党が強く推し進めていた法案だったため
以前から親交のあった宮城県知事も協力をしたという形になったのでしょう。

仙台空港が売却される際の条件は次の通りです。
・滑走路とターミナルの運営期間は2016年~30年間
・その後無償で30年延長可能
・津波などの不可抗力が起こった場合には更に5年延長可能
・コンセッションフィー(運営権料)は一括払

この条件で最終的に入札に乗り出したのは4つのコンソーシアムです。
・東京電鉄・前田電鉄など
・三菱地所・大成建設・ANAホールディングス・日本空港ビルデング
・イオン・熊谷組
・三菱商事・楽天
一見空港経営や仙台とは関係のなさそうに見える企業に見えますがいずれも
何かしら空港や仙台との関係があり、手を挙げるだけの理由があったのです。

結果として、コンセッションを勝ち取ったのは東急電鉄と前田電鉄などのコンソーシアムでした。
審査前は他のコンソーシアムが有力視されていたのですが、実際の提案が最も素晴らしかったということから
下馬評を覆しての勝利でした。

この入札時に提案したのが次のような内容です。
最も大きい経営改革が滑走路の着陸料を安くしてLCCを積極的に呼び込むことです。
341億円の追加資金を投じ、30年後には今の2倍近い年間550万人の利用者数を目指しています。
ターミナルを改修し、東北ブランドを打ち出した店舗を増やし、カフェや交流プラザを設けること提案したのです。

入札時に彼らが支払った金額は22億円です。
これ加え、ターミナル会社の株式を借金込みで購入する代金をあわせて120億円。
そして先程の追加資金341億円です。
途方もない莫大な金額が注ぎ込まれていることがわかります。
当時の仙台空港はそこまで利用者数の多い空港ではなかったため、かなり高額な買い物になります。
しかしそれだけの価値があると判断されたのでしょう。

さて、民営化が行われた仙台空港では実際にどんな変化があったのでしょうか?
まず変わったのがターミナル屋上への出入りです。
それまでは有料だったものが無料で誰でも上がれるようになりました。
飛行機に乗る予定がない人でも写真を撮る、飛行機がみたいという理由だけで屋上に上がれるようになりました。
仙台ならではの地元色の強いお店も増えました。
まだ経営が民営化して6年です。
今後さらにいろいろな展開が行われるのが楽しみでもあります。