大型ジェット機が空港で燃料注入している光景をよく見かけます。
あの大きな巨体を飛ばすのだから、さぞや特殊な燃料を使っているのだろう
と思っている人が多いのではないでしょうか。
実際、どのような燃料を使っているのか見てみましょう。
■航空機の燃料は二種類ある
航空機の燃料にはガソリン燃料とジェット燃料の2種類がありますが、
ピストンエンジンを搭載するプロペラ機などは、軽油をさらに精製した
ガソリン燃料を使っています。
これは車のハイオクガソリンよりも上質なものとなります。
次にジェット燃料は、ガソリン燃料に比べると引火性が低く
通常の状態にある燃料に火のついた焚き木を投げ入れても引火しません。
ところが空気を混ざった状態のジェット燃料は非常に火が付きやすく、
燃焼性の高さが特徴となります。
■ジェット燃料は家庭用ストーブで使用する灯油と同系統
一般には殆んど知られていませんが、大型ジェット機で使用されている
ジェット燃料は実は家庭用ストーブで使用されている灯油と同じ種類の燃料です。
ジェット燃料そのものは、ケロシン系とワイドカット系の二種類ありますが、
殆んどは灯油から精製してできるケロシン系が使われています。
ケロシンとは、原油を蒸留する際に発生する成分で灯油よりも
さらに密度が高く比重が軽くなっています。
民間のジェット機などでは、「ジェットA1」という種類が多く用いられています。
ワイドカット系はナフサと灯油を混合した燃料で、旅客機には殆んど使われません。
ワイドカット系はケロシン系よりも比重がさらに軽く、発火しやすい特徴があるので
主に軍用ジェット機で利用されています。
■ケロシン系が使われる理由
ケロシン系が旅客機などの大型ジェット機で主に使われている理由は、
40度以上でなければ引火しないことと、ワイドカット系に比べると
燃えにくいというメリットがあるからです。
ここでいうメリットとは、安全性を意識してのことです。
燃えやすい=危険性が高いという意味でのデメリットとなるので、
その点ケロシン系はメリットが高いと言えるのです。
厳密には灯油ではありませんが、灯油と同系統になるというのは
何となく親しみを感じる部分ではあります。
ちなみに灯油もガソリンに比べるとはるかに引火性が低く、
家庭用ストーブなどで使用するのに適しているのはそのためです。
燃料に至るまで飛行機の安全、安心が意識されていることが分かります。