旅客機の乗り降りは、いつも左前部のドアから乗り降りするのが一般的です。
ドアそのものは左右に設置されているものの、乗客の乗り降りが
左側からとなっているのには歴史的な理由があります。
最終的には歴史的な背景だけでなく、航空安全や効率性なども関係しています。
では、どうして左側からの乗り降りとなったのか見てみましょう。
■左からの乗り降りは船の名残り
飛行機が登場する前、移動手段の主流が船であった時代、
船の舵版は右舷に取り付けられており、船が接岸するときは舵が邪魔にならないよう
必然的に左側を陸に向けて接岸していました。
左側を陸に向けるということは、乗り降りは左側からとなり
飛行機もそれにならって、左から乗降するようになったと言われています。
■左が習慣化しているので、全て左が基本の動作
地上スタッフやクルーは左側に位置し、機体の左側にあるドアから
乗客の安全な移動を確保する訓練を受けています。
これによって、乗客が安全かつ迅速に機内に入ることができ、スムーズな運行を実現しています。
また空港施設や乗り場の配置なども、全て左側からの乗り降りで統一されており
効率的かつ安全に旅客機を管理できています。
■他にもある船の名残り
船はその後、舵でなはくスクリューへと変わったため左右どちらからでも
接岸できるようになりましたが、飛行機は左側からの乗降が残ったのです。
他にも船の名残があり、飛行機のことを業界では「シップ」と呼び、それ以外でも
客室「キャビン」、乗務員「クルー」、機長「キャプテン」などは、
全て船がルーツとなった呼び名です。
■右のドアはいつ使われるのか
左からの乗降が基本ならば、どうして右側にもドアがついているのだろうか。
その理由は、機内食や販売品の積み込み、機内清掃や非常用脱出口として使われています。
機種によっては左右ではなく、機体後部にタラップを収納しており
そこから客を乗降させる旅客機もあります。
■左右を統一することで画一的なルールとしている
このように左側のドアから乗り降りすることで、飛行機に関連する施設などが
画一的なルールの元で統一できることは、安全、安心な運航に役立っていると言えるでしょう。
右のドアから降りたことがある人は、非常に貴重な経験をしたことになります。
ちなみにLCCなどでよくみられるケースで飛行機までバスで移動し、
タラップで乗り降りする場合でも基本的に左側からとなります。
別に右側からでもいいじゃないか、という意見もあると思いますが
急に一部の航空会社だけが右側からにすると、それだけでこれまでの慣例が崩れ
いろいろなところに支障が出る可能性があるので、そのようなことはしないのです。