知られざる創設秘話 関西国際空港編

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軟弱基盤との戦いに打ち勝ち、羽田空港は4つめの滑走路を手に入れました。
しかし軟弱基盤に嘆いているのは羽田空港だけではありません。
今なお、海底の超軟弱基盤と戦い続けているのが大阪府泉佐野市にある関西国際空港です。

2018年9月、関西地方を襲った台風21号によって
関西国際空港の滑走路の1本が完全に浸水してしまったのは皆さんの記憶にも新しいかと思います。
これは海上に作られた空港の弱点なのです。
では、なぜ滑走路はあれほど浸水してしまったのでしょうか?

関西空港の1期空港島が完成したのが1994年のことです。
その後、2期空港島が完成したのが2007年になります。
非常に陸から遠いところにある空港で、これは世界的に見ても他に例がないケースです。

なぜ、こんな陸地から離れた場所に空港が作られたのか?
理由は羽田空港と同じく、騒音問題にあります。
関西国際空港は日本初の24時間運用可能な国際空港ですが
この24時間運用を行うことでネックになるのが、住宅地周辺への騒音被害でした。
近隣住民からすれば昼夜問わず飛行機が飛び交うことに不安を覚えるのは当然です。

騒音被害があるとなれば、空港を運用することができなくなってしまため
関西国際空港は陸地から大きく離れた場所に建設する他なかったのです。

しかし、その海底には沖積層という地盤の緩い粘土層が堆積しており非常に軟弱な地盤で
そのままではとても建物を建てられるような状況ではありません。
1期島は18m、2期島では19.5mもの深い埋め立てをするために
25mの沖積層、更にその下の1000mの洪積層を大規模で地盤改良する必要がありました。
そのまま埋め立てしても、激しく沈下することが明らかだったからです。

沖積層は重みが加わると圧縮されて沈下してしまいます。
そこで土砂を投入しながら同時にその重みで水を抜くサンドドレーン工法が採用され
次に埋め立て部の外周には波を防ぐために堅牢な護岸が作られました。

そうして完成にこぎつけた関西国際空港ですが、残念ながら沈下との戦いは収束していません。
沈下が均一であれば、そこまで大きな問題は起こらないのは
問題なのはあちこちで同時多発的にアンバランスに沈むのが問題です。

このため関西空港では独自の沈下対策を実施しています。
建物の連結部は蛇腹のような構造のジョイントで作られており
テナントビルもアトランダムに起きる沈下に調整ができるように作られています。
空港ともなれば堅牢な建物というイメージがありますが
建物自体が非常にフレキシブルに動くように作られているのです。

開港から現在まで、1期島では最大3.43m、2期島では4.14mも沈下しており
現在も1年あたり1期島で6cm、2期島では30cmも沈下しています。
徐々に沈下が落ち着いてきているとは言え、関西国際空港の軟弱地盤との戦いはまだまだ終わりそうにありません。

LCCも多く就航し、関西の空の窓口として欠かすことのできない関西国際空港ですが
その影では今も地盤沈下との戦いが続いています。