旅客機の座席シートには厳しい安全基準が課せられています。
単純に乗る側からすれば、座り心地、寝心地の良さ、安全性などになりますが
基本的には安全面での基準が大きな比重になっています。
座席にはさまざまなクラスがあり、エコノミー、ビジネス、ファースト
と段階が上がっていくにつれて豪華になっていきます。
しかし、基本的な安全基準はどの座席クラスでも同じです。
エコノミーだからとか、ファーストだからといった座席によって
安全性が異なることはありません。
では、どのような安全基準が設けられているのか見てみましょう。
■国によって基準は異なる
座席の安全基準は国際的な基準ではなく、その飛行機がどのの国の
所属なのかによって変わってきます。
つまり国によって安全基準は異なっているのです。
日本の場合、国土交通省が定めた安全基準に沿って座席は作られています。
まず求められる点は以下、
衝撃に対する基準は、固定したままで重力加速度が前方9G、後方1.5G、
上方3G、下方6Gに耐えられなければなりません。
また不時着などの衝撃に対しては、前方16G、下方14Gまで耐える
という条件も課せられています。
このように基準はG(重力)によって決まっている。
1Gは人ひとりにかかる重力のことで、2Gになると2倍の重圧となる。
個人によって重圧は異なるので、安全基準では体重77キロの人を
もとにして計算している。
■かかるGとはどういうものか
例えば戦闘機のパイロットがアクロバティックな飛行を行うと、
かなりの重力がかかることになります。
この重力を受ける限界が9Gとされており、それ以上のGがかかると
乗っているパイロットの心臓が止まってしまうとされています。
ですから不時着時に発生するとされる16Gがどれだけ大きな数字か
ということがわかるでしょう。
また、過重にはシートの重さも加わってくるので、シート素材は
可能な限り軽量でかつ強度のたかいものが使われています。
そのため、多くの座席の骨組みはアルミ合金で作られています。
■耐重圧だけでなく、耐火基準もある
シートは耐重圧だけではかく、耐火基準も設けられています。
火災が起きても燃えにくく、かつ有毒ガスを発生させにくい素材が使われます。
そのため、クッション素材には不燃性の高いポリウレタンや炭素繊維が使われ、
カバー生地には燃えにくいウール素材が使われています。
■座席は乗客の命を一番に守る場所となっている
このように座席は乗客の命を守る上で、一番身近な存在となっており
これらの基準によって、安全で安心、かつ快適な乗り心地を
提供できるようになっているのです。
エコノミーだからとか、ビジネスだからという理由で座席の安全性が
左右されているわけではありません。
座席のクラスに関係なく、安全はすべての乗客が平等に守られているのです。