パイロットは空の安全を担う責任があります。
そのため、パイロットになるためには非常に過酷な訓練を積まなければなりません。
副操縦士になるまでに何年もの時間を必要とし、その後の現役生活の間は
常に訓練と審査を受け続ける日々が待っています。
それだけパイロットというのは、責任の重い仕事なのです。
■副操縦士昇格訓練
副操縦士昇格訓練は機種限定資格を取得し、路線運航に同乗して経験を積みます。
これらは副操縦士の資格を取得するために必要な訓練です。
機種限定資格を取得する訓練は、学科訓練についでシミュレーターによる
訓練を受けることになります。
実際に飛行機に同乗して行う訓練の前に、シミュレータによる訓練を受けます。
そして最後に空港での実機訓練で締めくくりとなります。
■シミュレータ訓練
シミュレータ訓練は実機のデータをシミュレートすることで、
航空機の動きを地上で模擬再現し操舵や機体の反応など、
実機を運航しているのと同じ状態で訓練ができます。
実機と同じ動きをするシミュレータをフルフライトシミュレータ(FFS)と呼び、
固定式は固定訓練装置(FBS)と言います。
■トラブルに対応する訓練
実際のトラブルに対応する訓練は、実機を使って行うことができないため
これもシミュレータを使って再現し、対応を訓練します。
エンジン故障、急病人発生、緊急着陸地の天候悪化など
様々なトラブルを想定した訓練でLOFTと呼ばれています。
また、最近ではシミュレータの性能向上が目覚ましくなっており、
シミュレータの果たす役割が増加しています。
そのため、実機の訓練を受けなくてもシミュレータ訓練だけで、
ライセンスを取得することもできるようになってきました。
■向上したシミュレータの役割
このように飛行訓練を実機で行うのではなく、シミュレータを使用するようになったのは
実機では危険すぎてできない訓練でも、シミュレータであれば繰り返し何度でも
行なえることに加え、実機による訓練の経費を軽減できるメリットがあります。
実機で訓練すると燃料費、機体の整備費用、空港の着陸料など
様々なコストが発生してしまい、コストパフォーマンスを悪化させてしまいます。
シミュレータであればそのコストが実機の10分の1程までに抑えられます。
最新の高性能シミュレータは1基約30億円以上かかるとされていますが、
それでも実機訓練を行う費用よりも圧倒的に安くて、安全とされています。
■シミュレータなしでは高いクオリティの訓練は難しい
このように費用面でみても、シミュレータの役割は欠かせないものとなっており
高いクオリティを維持するための訓練は、実機では難しくなっている。
1基30億円以上とされているシミュレータですが、値段だけを見れば
一般人にとっては高いかもしれませんが、安全、安心を維持するためのコストとして
考えれば30億円は非常にリーズナブルな価格と言えるでしょう。