「ロングフライト血栓症」、「エコノミークラス症候群」という言葉を聞いたことがありますか?
どちらも医学的には「肺血栓塞栓症」という病気です。
これは、飛行機の座席のような狭い場所に長時間同じ姿勢で座ることで
足の静脈に血栓(血の塊)ができて起こる病気です。
重症になってしまうと、死に至ることもある恐ろしい健康被害です。
せっかくの旅行でこんな健康被害を起こしてしまえば台無しです。
事前に予防策を知っておけば、エコノミークラス症候群は避けることができます。
予防策を学んで、未然に防ぐようにしましょう。
■ファーストクラスでも油断はできない
肺血栓塞栓症が問題になった時、症状が起きた人の多くがエコノミークラスの狭い座席に座っていたことから
この病気は世間一般に「エコノミークラス症候群」と呼ばれるようになりました。
しかし実際は、長時間同じ姿勢を取ることで起こるため、エコノミークラスだけではなく
ビジネスクラスやファーストクラス、新幹線やバスの座席など座席のスペースに関係なく起こることがわかり
最近では「ロングフライト血栓症」と呼ばれることが増えてきました。
■どうして肺血栓塞栓症が起きてしまうの?
肺血栓塞栓症になってしまうのは、先にも書いた通り、長時間同じ姿勢で座ることです。
座席に座っている時、わたしたちの膝は長時間曲がっている状態になります。
この時、膝裏の静脈の血液が流れにくくなってしまい、血液がどろどろになり塊となります。
この塊は血管を塞いでしまうので、急に立ち上がったときに、血の塊が心臓や肺に移動して呼吸困難を起こしてしまうのです。
飛行機の中はとても乾燥しています。
このため何もしていなくても体内からは1時間に80mlの水分が失われるといいます。
血液の中に流れる水分量も減ってしまうため、余計に血液がどろどろになりやすくなるので注意が必要です。
■タイムラグがあるので、飛行機に乗ったあとは要注意!
この症状の恐ろしいところは、タイムラグがあるということです。
飛行機から降りて1週間もすると、すっかりエコノミークラス症候群のことを忘れてしまいがちですが
すっかり忘れた頃、数日経過してから倒れる人がいます。
飛行機を降りた時に症状がでなくても、降りたあとに足がむくむなど気になる点が会った場合には
病気を疑って病院を受診するのがよいでしょう。
■どうすれば予防できる?
予防策としては次のようなものがあります。
・血流が悪くならないように、しめつけの少ないゆったりとした服を着る
・こまめに水分補給をして、乾燥から体を守る
・数時間に一度立ち上がって通路を歩くなど体を動かす
・座席に座っている間、靴を脱いで足先を動かすなどのストレッチをする
・アルコールやコーヒーなど利尿作用のある飲料は避ける
少し気をつけるだけで予防できるので、長時間フライトの路線に乗るときには
対策をしっかり行っていきましょう。