2010年頃の日本では、もうコレ以上空港利用者数は伸びないだろうと考えられていました。
海外旅行が以前に比べて近いものになったとは言え、年間の利用者数が劇的に伸びることはないだろう
航空業界はもう頭打ちだろうというムードがどことなく漂っていました。
しかしそんな空気は日本だけのもので、世界に目を向ければ空港オペレーターが空港の経営を活性化させ
空港ビジネスの可能性は大きく広がっていました。
そして、海外の空港オペレーター会社の日本の空港への評価は大きく異なっていました。
日本は周辺アジア諸国の成長を更に取り込んで空港はもっと活性化するだろうと考えていたのです。
日本の周りにあるアジア諸国はいわゆる後進国と呼ばれる国々でしたが
近年急速に人口増加と生活が豊かに変化しつつあります。
生活が豊かになり、経済的に高い水準の人が増えれば増えるだけ海外旅行へ出かける人も増えます。
アジア諸国で豊かな暮らしを送れるようになった彼らにとって、日本は近場にある非常に魅力的な旅行先です。
近い将来、彼らの発展とともに日本にはたくさんの観光客がやってくるようになり
日本の空港利用者数も大幅に伸びると予想していたのです。
そしてこの予想を実際のものに変えたのがLCCの登場です。
2000年前後からアジア諸国ではエアアジア、セブパシフィック、ライオン・エア、タイガーズエア
春秋航空といった従来のような航空会社のチケットに比べて気軽に利用できる格安の路線が急速に増えました。
2011年、日本国内でもピーチ・アビエーションが関西空港を拠点空港として設置され
翌年2012年から定期運航を開始してから、関西空港は大きく息を吹き替えしました。
1万円以下という新幹線並の安いチケットで飛行機に乗れるというのは衝撃でした。
2010年、JAL破綻で消滅した地方路線を埋めたのもピーチや春秋航空、ジェットスター・ジャパンなどのLCCでした。
地方空港は空いているので遅延のリスクも少なく、施設利用料も羽田と比べると安く、LCCにとって就航するメリットが大きかったのです。
日本にLCCが登場して数年ですが、国内シェアは1割を超えており、今後もシェアは拡大していくと思われます。
実際、イギリスでは国内線では6割、国際線でも4割超となっています。
それまで飛行機はビジネスマンやお金持ちだけが乗るものというイメージがあったのですが
誰でも気軽に、電車や高速バスに乗る感覚で利用するというイメージが一般に強くなってきました。
LCCが登場したことにより、今まで高速バスで移動していたという層がごっそりLCCへうつりこれによって
日本の航空需要は大きく回復しました。
2006年に約1億円だった空港利用者数はリーマンショックや東北大震災で減り続けていました。
ところがLCCの登場により、現在は1億2000万人になっています。
つまり日本国民の全員が1年に1回程度飛行機に乗ることになったのです。
LCCは日本航空業界と地方空港の救世主と言っても過言ではないでしょう。